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れいむとおねえさん 27KB 虐待-普通 理不尽 都会 現代 anko871修正 ゆっくりとしたお食事のお話。変わり種 ・ほぼ一人対一匹で構成されています ・回想分多目 ・言い回しがHENTAI臭いかもしれません ・改行多い希ガス ================================================== 土曜日、朝9時。 休日にしてはやけに早い時間に外出した家の主が、胸元に大きな箱を抱えながら帰宅した。 幸せそうな顔をして家の扉を開けた主の、その胸に抱えられている箱は持ち主の細身に似合わず、 バースデーケーキを一回り大きくした程度のサイズを誇っている。 そして家の主は扉から中に入り、鍵を閉めて小さな部屋へと移動する。 日陰に当たるその部屋は薄暗く、どこか鬱屈とした空気を抱えている様にも感じられた。 部屋着なのか、黒のスウェットに着替えた家の主はそっと、 緑のごく薄いカーペットが敷かれた部屋の中央に箱を置く。 ごそり、と入れ違いになっているボール箱の蓋を開くと、そこには 一匹のゆっくりれいむが入っていた。 真っ暗な視界が解かれた、亜成体サイズの赤いリボンを纏ったゆっくりは、 薄暗い部屋にも関わらず眩しそうな顔をして周囲を見渡し、 目の前に人物を見つけるとお決まりの挨拶をした。 「──ゆ。 おねえさん、ゆっくりしていってね!!!」 「ふふ、ゆっくりしていってね」 れいむにお姉さんと呼ばれた人物は、セミロングの柔らかな黒髪を揺らしながら ゆっくりれいむの挨拶に実に優しげな笑顔で返答をした。 「…おねえさんはゆっくりできるひと?」 女性は、見上げて質問をしたれいむの目線に合わせる様に屈んで その顔をれいむの前に出し、腕を組んでその上に頭を置いた。 「ねえ、あなたにはどう見える?」 「…ゆゆっ、とってもゆっくりしてる!」 「ふふ、そう言って貰えて嬉しいわ」 そっと視線を元に戻すと、お姉さんは組んだ腕を解いてれいむの頭を優しく包む様に撫でる。 頭を撫でられるれいむは、本当に本当に嬉しそうな表情で目の前のお姉さんに撫でられるがままに体を任せた。 「れいむ、ずっとおねえさんといっしょにゆっくりできる?」 とても明るい笑顔で、ゆっくりれいむはお姉さんに尋ねる。 「ええ、ずっと一緒よ」 とても優しげな表情で女性はれいむの問いに答える。 れいむは、とても嬉しそうに女性の手にすりすりと頬を寄せた。 女性はそれを見るとにこやかな笑顔を浮かべてれいむを撫でる手をそっと右かられいむの体に回し、 左の手をその反対側に添えると優しく、それは優しくれいむを抱き上げた。 「ゆっ、おそらをとんでるみたい」 「幸せ?」 「うん、れいむしあわせ! とってもしあわせだよ!」 女性は抱き上げたれいむを頬に寄せ、幸せそうな表情のれいむにむにむにと 頬を寄せ、精一杯頬ずりをした。 「ゆゆっ、おねえさん、くすぐったいよー。 すーり、すーり…おねえさんのほっぺ、すっごくすべすべだね! おかーさんみたい! …ゆ、おかーさん… …れいむね、おかーさんのことわからないんだよ…」 女性の頬ずりを受けてくすぐったそうに身をよじったれいむだったが、ふと寂しそうな表情を浮かべる。 「れいむね、ひとりぼっちだったんだよ。 おねーちゃんも、おかーさんもいなかった。 たくさんたくさんひとりぼっちだったけど、だれもいなかったの。 たくさんたくさんさがしたけど、れいむひとりぼっち。 でもね、でもね! おねーさんがいるからさみしくないよ! もうれいむ、ひとりぼっちじゃないの! ゆっくりできるの、ゆっくり!」 暗い表情で話すが、途中から興奮気味になってれいむは涙を浮かべた。 「そう…ずっと独りだったのね。 寂しかったでしょう。 これからはずっと一緒ね、れいむ」 「…しあわせー!」 ぎゅむ、とれいむを抱きしめるお姉さん。 れいむは、ぼろぼろと涙を流して喜んでいた。 お姉さんは、その顔を見つめる様に目の前にれいむの顔を持ってくる。 「あのね、あなたに会う為に、私ひとつのことをしているの」 …それはね、れいむ」 目を閉じると、その唇をそっとれいむのおくちに寄せるお姉さん。 「…ゆ、ゆゆっ? おねえさん、れいむ…れいむ、まだふぁーすとちゅっちゅ…っ」 女性の吐息がかかるほどに近づくと、れいむは赤面してぎゅっと目を閉じる。 おねえさん、もしかしてれいむのためにふぁーすとちゅっちゅとっておいたのかな。 おねえさんだったられいむ、ふぁーすとちゅっちゅをしてもいいな そんなことを考えながら。 それは、音もなく。 れいむは、たっぷり5秒近くをかけて、何があったのかを理解しようとした。 できなかった。 その代わりに、 痛かった。 とても痛かった。 おくちが。 うえのおくちさんが。 とても、とても。 「ひぃ………ひぃだぃ?! ぃだぃ…い"だい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!! おね、ざん………? ひぇいむ、いだいよ?!!ど、じで…どう"じで!!!」 ────────────────────────────────── ただ、少し。 ほんの少し、他の人と違うだけ。 モノを食むのが好きだった。 子供の頃、よく犬の耳を軽く食んでは汚いと怒られた。 解剖の授業が好きだった。 鼠の解剖の際、他の女子が皆顔を逸らす中で、 彼女だけは、抑えようのない高まりを覚えていた。 観察が好きだった。 一日中蟻の行列を眺めていることも、それを邪魔することも楽しかった。 最初にゆっくりを見た時は、奇妙なモノだと思った。 人間の顔にそっくりで、人間の言葉を喋る。 次にゆっくりを知った時、今までにない好奇心を覚えた。 総て食べられる素材。それでいて、野生に生きることもできる。 彼女が普通に生きる中で秘めていた何かが、覚醒したのを感じた。 ────────────────────────────────── 目の前のれいむが、目を丸くして、驚愕の表情を浮かべて。 ゆっくりと、己の失った部分と、私の顔を交互に見詰めた。 上唇の一部と共に、ごっそりと失った、 右上の歯の並んでいた場所を。 齧った、餡子と飴の混じったモノを がりごり と音を立てて噛む。 まるで甘みのない餡子は、どう頑張ってもお世辞の言葉を言えない程に味気が無かった。 "幸せ"な状態のゆっくりは、甘くない。 ふと思い出した言葉を反芻しながら、白くて硬めの飴を舐め、噛み砕く。 ほんのりとした甘みは、飴としては少々さっぱりしている物だろう。 「…どうして? どうしてなのかしらね。 …ごめんなさい、わからないわ。 でも、大丈夫。あなたはずっと私と一緒に居られるから。 私の中で、私の身体と混じり合って」 れいむは、痛いのだろう。 その底部、"あんよ"と呼ばれる部分をぐねぐねとひっきりなしに蠢かせながらしかし、 目線を私に合わせながら、数秒間、涙を出さなかった。 「や"っ、や"っ…や"だよ"ぉ"…ひぇいむば、ゆ"っ ぐり、じだい"よ" おで、ざんど、い"っじょに" い"、っじょに」 「なりましょう? 一緒に。 私と」 「ぢがう、ぢがうよぉぉぉ! ぢがう! ひぇいむば、 ゆ"っぐぢ、おでえざんど! い"っじょに"、い"ぎだいよ"ぉ"!!!」 「ごめんなさいね、れいむ。 私はあなたを吸収して生きるから。 あなたに会う為に、昨日のお昼から何も食べないで我慢しているの 残すことなく、あなたは私と一緒になれるから」 「いやだぁぁぁ!!! おがあざんんんん!!! おでえぢゃんんん!!!」 とうとう、大粒の涙を流して大声で泣きだすれいむ。 その体を掴む手の指に力を入れ、そのもちもちの饅頭肌に突き立てていく。 ぷつりと、鷲掴みにする様に立てた指が肌色の中へと吸い込まれる。 「や"だぁ"ぁ"ぁ"!!! ひぇい"ヴ、ひぇいぶは! ごれ"がら"! ゆっぐりいぎdぅぅぅぅぅぅぅぅぅ ずるり。 二度目のキス。 大きく舌を出しながら泣くれいむの、その舌を包む様に口に入れていく。 そして、ギリギリまで引っ張ると歯を立てる。 千切らない様に、しかし舌を引き戻せない様に。 れいむの眼を上目に見ると、元々大きい瞳を更に溢れんばかりに大きく見開き、ぶるぶると震えている。 これから何をするかがわかっているのだろう。 これから、自分がどうなるかがわかったのだろう。 瞳は絶望に凍りついて、先程までのれいむと同一ゆっくりだとは思えない程に苦痛に歪みきっている。 これが、ゆっくり。 友人に見せて貰った同じ種類のゆっくり。 あれとは違う。 私の、私だけの。私の為だけにこのゆっくりは居る。 この瞬間の為に。 これから、私に食べられる為だけに。 背筋を、ぞっと冷たい何かが走った。 初めての感覚。 どんな快感とも違う、熱くて冷たい感情。 絶望に凍りついたれいむの瞳には、口を三日月形に歪ませた、得体の知れない表情をした何かが映っていた。 ぶちり。 「──~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!! ~っ!!! ~~~~~ッッッ!!!」 瞳が、一層大きく見開かれた。 思い切り、上下の歯を降ろしたのだ。 れいむの舌が、本来の持ち主から私の口へ移った。 まるで、柔らかなガムを噛みちぎった様な感覚だった。 髪の毛に餡子が付くことも厭わず、餡子が噴き出す口を閉じた唇ごと、顔の下方を使って封じ込む。 喉の奥まで詰まった舌。器用に奥の方のみを千切り飲み干すと、ざらざらとした感触の袋の中に 甘い甘い、とても甘い餡子が詰まっている。 ぶつ、ぶつり。 舌という大きな餡子袋を噛む度にれいむの瞳が見開かれ、そして砂糖水が私の頬を伝って落ちてゆく。 ざらりとした皮の感触、そして甘い餡子の味を舌に刻みつけながらひとくちひとくちそれを飲んでゆく。 そしてその総てを喉の奥に流すと、顔をれいむから離して口を開けて見せつける様に舌を出す。 れいむは、舌を失いただただ餡子の海と化した口を大きく開いて泣いていた。 ────────────────────────────────── 「ゆっきゅちちちぇいっちぇにぇ!!!」 れいむが生まれたのは、薄暗いところだった。 うとうととした幸せな眠りから覚め、何度も何度も眠りの中で練習した挨拶を、 大きな声で最大限の幸せを込めて言ったのだ。 きっと嬉しそうな顔をした、おかあさんとおとうさんに聴いてもらうために。 誰の返事も返ってこない。 ずーっところころ転がって自分が落ちた場所も、何の変哲もない床だった。 周りを見渡しても誰もいない。 一番先っぽに居たれいむと同じ茎に居たおねえちゃんも、 にっこり笑って挨拶してくれるおとうさんも、 愛しい娘を生み落し、泣いて喜んでくれているおかあさんも。 れいむは精一杯泣いた。 泣いても誰も来なかった。 泣き疲れて、お腹が空いたことに気が付いた。 幸い部屋の中は温かく動きやすいため、ぴょこぴょこ跳ねてご飯を探すと、 すぐに柔らかくすり潰された何かを見つけた。 緑色をしたそれは甘苦く、美味しかったが同時に寂しい気持ちを誘った。 誰もいない。美味しいのに、幸せじゃない。 「むーちゃ、むーちゃ…おきゃーしゃん…おちょーしゃん…」 れいむはぼろぼろ泣いて、いつの間にか眠っていた。 ─────────────── れいむは、ずっと同じ場所にいた。 誰も話しかけてくれるものはなく、話をする相手もなく。 やることと言えば、部屋にあるチューブから水を飲むかぼーっとしているか、 お腹が減る時間に定期的に落ちてくる黒いあまあまを食べるかだった。 そんな毎日の中で、れいむはふと画期的なことを思いついた。 「れーみゅにおとーしゃんとおきゃーしゃんがいにゃいにょはれーみゅがおちびちゃんだきゃら きゃもしれにゃいよっ!!! ゆっきゅりれーみゅはおとにゃのゆっくちににゃるよ!!!」 れいむは知らないだろう。 れいむが毎日食べているあまあまはゆっくりの知恵の塊だと。 れいむが、大人と子供の違いを知ることができたのは、ゆっくりの知識を喰っているからだと。 その中に、生殖能力が衰えた自分の父親だったものが入っていたということも。 「ゆっくちちていってね!」 「ゆっくし!ゆっくち、ゆっくてぃ、ゆっく…」 「ゆっくり! ゆわぁぁぁい!!! ゆっくり! ゆっくりちていってね!!! …ゆ?」 「ゆっくりちていってね、…ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってねぇぇぇ!!!」 答えるモノがいないにも関わらず、れいむは練習を続けた。 いつか誰かが気づいてくれるかもしれないと。 きっと、誰かと一緒にゆっくりできるかもしれないと。 れいむが「ゆっくりしていってね」と言えるようになってからたくさんの時間が経ったあと、 れいむのご飯がいつもと違うものになった。 しっとりしていて真っ黒だったいつものご飯ではなく、つぶつぶで丸いものだった。 いつもよりも甘くて、酸っぱくて、とてもおいしかった。 「むーしゃ、むーしゃ、ししし…しあわせーーーー!!!!!」 目が覚めると、れいむは凄く狭い所に居た。上の方を見ると小さな穴から光が見えた。 今までの環境と比べて、圧倒的にうるさい環境だった。 色々な声が、音が、曲が聞こえてくる。 世界を知らないれいむにとって、小さな箱への不安感よりも広がる世界への期待感の方が遥かに大きかった。 小さな穴から箱に詰め込まれる緑の葉っぱは、最初に食べたあのペーストを思い出させたが 甘み、そして瑞々しさがあってとても美味しかった。 その日から数日後、れいむはまた落ちてきた真っ白さんを食べた。 眼が覚めると、がたがたと揺れる箱の中だった。 そして、一緒にゆっくりしてくれる人と出会った。 れいむの努力が実り、夢が叶ったのだ。 そう思っていた。 ────────────────────────────────── れいむは泣いていた。 何が何だか、わからなかった。 ただ、お姉さんがれいむを食べようとしているということはわかったのだ。 広々とした草原を跳ねて、美味しいご飯を食べて。 綺麗な花を見て、滑り台さんで遊んで。 たくさんたくさんお話をして、時々たっぷり怒られて。 …れいむは、生きてお姉さんと一緒にゆっくりしたいのに。 そう訴える為の舌は、もうない。 「せめて、痛くない様にしてほしい」 そう伝える為の言葉さえ、もうれいむの口から二度と出ることはないと嫌でも気が付いた。 もう、喉の奥からは餡子と唸るような音しか出ない。 喉の奥の方の舌の付け根だった場所から溢れる餡子は、 れいむが頑張って手に入れた大人の声が溢れて消えていく様で、体の痛みに狂う思考の中で 更に、強い精神的な痛みを与えていった。 ────────────────────────────────── 大きく口を開け、餡子をぽろぽろと流しながら泣くれいむ。 そっと、再度顔を近づけていくと、流石にそれが危険信号だと覚えたのだろう。 ぐりゅんぐりゅんと指の刺さったあんよが大きくうねる。 ふう、と小さく溜息を吐くと、お姉さんはその両脇にてれいむを抱えている腕を捻り、 れいむの肌に突き刺した指を捩ってれいむの暴れるあんよが顔と向き合う様に傾けた。 そのまま、カーペットにれいむを背を下にして置くと両手の指をれいむの肌から抜く。 ぶちゅり、と音をたててれいむから指が離れる。 べっとりと顔に付けた餡子を拭うこともなく、ぺろりと指を舐めると、 お姉さんはれいむが起き上がれない様に足でリボンの辺りを抑えると あんよに手を当て、例えれば白玉を作る様にOKマークの形に丸める。 ぷっくりと、団子の形に膨れるれいむの底部。 その周囲が皺を作りながらぐにぐに動く中で動きを封じられたその部分を、 そのまま捻って千切り取った。 「~~~~~~~!!!! っ!!! ~!!!」 びくん、とれいむの全身が大きく痙攣する。 お姉さんも驚いて同時にびくり、と体を強張らせたが直ぐに戻ると、 「駄目じゃない、人を驚かせちゃ。 悪い子にはおしおきをしないといけないわ」 歪な笑顔で皮ごとれいむの口の中にあんよ団子をねじ込んで口を閉じた。 更に数回、れいむの底部が不器用な水玉模様になるまで千切ってはれいむの口に入れ、 千切っては入れを繰り返した。 「しっかり食べ物は噛まないと」 お姉さんは太腿でれいむの体全体と底部を抑え、 最後のあんよ団子と共に右手をれいむの口の中へと突っ込んだ。 「はい、もーぐ、もーぐ」 声に合わせて右手をれいむの口の中でぐるぐると動かしていく。 最早、口と言うには広い範囲、れいむの下半分をぐるぐるとかき回す。 れいむは眼を飛び出さん限りに見開き、充餡で真っ赤にしながら びくびくと体を震わせている。 少々力加減が強い様で、お姉さんが腕を何度も回している内に れいむの歯は総て抜けきって、体の餡子と混ざってしまっていた。 「もーぐ、もーぐ、はいおしまい」 ぐるぐると回していた腕を最後は強く押しつけ、 皮を破って髪へと腕を貫通させてから引き抜いた。 お姉さんが抑えていた為、出餡量は未だ致死量に達してはいないが、 体中の餡子をかき回されて己の歯とは言え異物を混入されたれいむは時折痙攣をする程度まで弱っていた。 しかし、お姉さんはその様子を気にすることさえなく、餡子塗れの脚を立て、 れいむの前で膝立ちになる様な格好で座りこむ。 体を締め付けていた脚から解放されても、れいむは微痙攣を続けるばかりで 大きな動きをして餡子を多く零す様なことは最早不可能な状態まで消耗している様子。 お姉さんは、それを見てふと思い出した様に零れ落ちた餡子をできるだけ れいむの口に突っ込んでから、急いで部屋のドアからキッチンへと駆けていった。 ────────────────────────────────── そんな隠れた嗜好とは裏腹に、彼女は普通の人生を歩んでいた。 普通の中学校に進学して、入った部活の陸上に打ち込んで。 高校ではお洒落を覚え、彼氏が出来た時期もあった。 今は専門学校へと進んで、色々な知識を身につけつつ、バイトをしながら一人で生活している。 そんなある日、ゆっくりが現れた。 日常の中に突然入り込んできた幻想の存在。 人語を喋り、動く饅頭。 無数の生物学者がそれに挑んで華々しく散って行った。 最初は腫れものの様な扱いを受けていたゆっくりだったが、その中身が暴かれて 圧倒的な繁殖力を見せつけると、あっという間に人間の暮らしに溶け込んでいった。 食品であるそれを利用したビジネスを行う団体。 それを反対する愛護団体。 ペットとして育てる人。 ───────────────── 様々な人が居るということを知ったのは、 ゆっくりが世に知れ渡ってからしばらく経った日のことだった。 人の頭に似ているというそれをなんとなく気味悪がって、私はそれに興味を持っていなかった。 そんな私にゆっくりを紹介してきたのは、大学のさほど仲の良い訳でもない普通の友人だった。 「…ゆっくり? それってあの生首みたいな奴だっけ」 「それそれ。 気持ち悪いって言う人も居るけど、結構可愛いんだ」 パック・ドル・バーガーというハンバーガーショップ、大学の近くにある、 学生に優しい値段がウリのファーストフード店。 その中で興奮気味にそう言った金髪の友人は、ゆっくりの簡単な説明が載っている本を鞄から取り出して 私に向かってぱらぱらとカラーのページを捲って見せた。 その本には、ゆっくりの種類の説明やペット・野生種の生態等が描かれていた。 その中でも、巣穴を掘って生活するゆっくりの姿が今でも印象に強く残っている。 その日、私は初めてゆっくりのことをもう少し知りたいと思った。 ────────────────────────────────── 急いで冷蔵庫へと向かうと、私はゆっくりを買う前に用意しておいたオレンジジュースのパックを 手に取って再度れいむの元へと向かった。 れいむの元へと戻ると、れいむは口を上にした体勢のまま、濁った眼を半開きにして震えていた。 その濁った瞳が動いて私の姿を捉えると、餡子が盛られた口を動かしてなにごとかを伝えようとしたが、 それが何だったのかは理解できない──しかし、その濁った眼が作る表情が、 それを心…と呼ぶべきなのかはわからないが、その底から伝えようとしていることを感じさせた。 私は、その必死な瞳に応えるため、れいむに近づいて持ってきた2リットル入りパックに入った オレンジジュースを、まずはその穴だらけのあんよ全体に撒き、うっすらと膜が張るのを見届けると 餡子塗れの口の中へとパックの口を傾けていった。 れいむに舌があったなら、その甘みを感じて幸福感に包まれるのだろう。 だが、れいむには味を感じる舌はない。追い打ちをかける様に、 その舌があった部分の奥にはぽっかりとそれがあった証拠である穴が開いている。 オレンジジュースの酸味が、その大きな傷穴に染み込んで痛みとなる。 体力を回復する為の甘味は、痛みの緩和の前に追加の痛みを与えていった。 ────────────────────────────────── 私が、その世界を知るに至るまでにはそう時間はかからなかった。 最初は、ゆっくりの生態や飼い方といった一般的なものを。 オレンジジュースで回復し、その需要が一気に増えたということ。 その次は、それらの社会に与えた影響等を。 そして、ゆっくりを愛する人間を──その中のちょっとした会話の中から。 "あいつらの行動は信じられない。同じ人間などではなく、あれは地獄の鬼ではないか" 地獄の鬼、人間ではない。 そう呼ばれた者が、その理由が知りたかった。 どんな所業をすれば、どんな行動をすれば。 そんな風に、呼ばれるのだろうかと。 ──────────── それは、張り手の様だった。 目覚まし時計の音の様だった。 あの本で、満面の笑みを浮かべていた赤リボンのゆっくりが。 金色のバッジを付けて、恥ずかしそうな表情を浮かべていた黒帽子のゆっくりが。 ぼろぼろになっていた。 大きな口を開いて泣いていた。 そんな大層なことではない。 その世界を知った後ならば、毎日見ていてもおかしくはない様なものだ。 その底部を真っ黒にして、上半身を伸ばして動こうとしている写真だった。 それは、私の瞳に焼きついた。 がん、と大きな音を鳴らして、私の中でその世界をもっと見たいという気持ちを 強く、強く湧き起こした。 …それが、たった1週間前。 2日の休日は、資料や動画を見ることで消えていった。 不眠不休。 ただただ、心の奥底から湧いたその感情を燃やしていた。 ──その次の日、学校へと向かった私の顔はくまが酷くて見られたものではなかった、 と友人には言われてしまった。 その日の授業は、眠気に勝てずに総て睡眠時間として消化された。 その日、私は帰路の総合スーパーでゆっくりがどう売られているのかを見に行った。 ゆっくりの入手の手段としては、ペットとして購入するか食品として購入するかの どちらかが最適な様子だった。…野生のゆっくりも居るには居るが、 都心にはまだあまり増えていないという所と、清潔感に欠けるという理由から避けることにした。 ──ゆっくりの売り場は、食品売り場の隅の方に大きく取られていた。 袋売りの小さなゆっくり…子ゆっくり、赤ゆっくりと呼ばれるものだ。 それらは量に対して割高な上、今回の予定に当てるには小さすぎてすぐに終わってしまうだろう。 対して、大きなゆっくりは箱売りで売られていた。 "純粋養殖" 生まれてから今まで、ずっと大地や他の個体などに触れることなく育てられた。 徹底的に汚れを排除し、食用を主として消費されるためのゆっくり。 私は、最初に連れ帰るゆっくりをどう扱うかを心に決めていた。 それに叶うゆっくり。これならば、私の思う通りにできるだろう。 私は、そのハンドボールサイズよりも一回り小さい箱を見つめ、決意を強めた。 ────────────────────────────────── れいむはかなり弱ったままではいるものの、体力は大きく回復した様子である。 体の震えはなくなり、口を閉じたまま──人間で例えるなら肩で息をするように、大きく顔を揺らしていた。 その瞳は濁ったままだが、確実に目の前のお姉さんを見つめ続けている。 まるで助けを乞う様に、そのままこの凶行を止めて欲しいと願う様に。 お姉さんは、先程と同じ様にれいむの前に座り込むと、れいむを抱き上げる。 目線は合わせずに、天井の方を向けたままで目を瞑る。 「~~~~~~、~~~~~"~"~"~"!!」 れいむは、お姉さんに抱き上げられると、怪我を治される前よりも遥かに大きく ガクガクと震えて口をぱくぱくと開けたり閉じたりして唸り声を上げている。 嫌だ、嫌だ、止めてくれ、とでもいう様に。 れいむの頭に付けている赤のリボンがお姉さんの目線と重なった。 お姉さんはそこで手を止めると、目を開いた。 今度は、とめどなく涙をこぼしているれいむの瞳を上から見下ろす様に。 優しくも、氷よりも遥かに冷たい目線をたっぷりと焼き付ける。 れいむは、その瞳を大きく開ききった目で見つめる。 お姉さんの顔とれいむの顔が近付くと悪夢が起きる。 れいむの小さな小さな知識の中に、それだけは強く植え付けられていた。 れいむが、大きく口を開く。 三度目のキスは、その大きく見開かれた瞳に向かって。 その瞳に唇が触れる一瞬前に、間一髪でれいむは瞳をぎゅっと閉じることに成功した。 その唇が優しく瞳に触れてすぐに離れた。 皺を寄せて閉じられた目の周りに、ぺろぺろと舌を這わせる。 その皺を撫でる様に、時折伸ばす様に。 動物の親が子を舐める様な、優しい舌遣いで。 何度も、何度も。 そして、その瞼をこじ開けた。 例えそれが柔らかい舌とは言え、人間の力に饅頭の力が叶う筈もない。 れいむの、左を司る瞳が真っ暗になり、その白玉に歯が突き刺さった。 溢れる涙はまるでシロップの様。白玉を通してお姉さんの口に移り、ごくりと喉を鳴らす。 成す術もなくその瞳を蹂躙されるれいむの耳に、変な音が聞こえた。 くつくつと。 小さく続くその音は、目の前の──そう、本当に"目の前"の唇から洩れていた。 ごくり、ごくりと鳴る喉の、その間隔の間を縫う様に。 くつくつ、くく ふふふふ… れいむは、ふるふると顔を横に揺らした。 その瞳が痛むことも厭わずに。 目の前にあるものはお姉さんなんかではないと、れいむはようやく気付いた。 もっと別の、狂った何かだった。 痛みよりも、恐ろしかった。 目の前の何かが。その瞳が。その行動が。 だから、突き立てた歯と一緒にその目が引き抜かれても、 れいむは何も言うことができなかった。 …尤も、何を言おうとしたとてまともな声にさえならなかったのだが。 ────────────────────────────────── シロップに満たされた白玉は、まるで蕩けるような食感だった。 ひとくち齧ると外側の少し硬い部分がぷちゅっと潰れ、中からどろっとした液体が流れ出す。 小麦粉だとか、そういったものを溶かしたような流動体。 あまりに溢れるものだから、少し零してしまったけれど──とても美味だった。 もうひとつの瞳に口を近づける。 れいむは、もう反抗をしてくることはなかった。 ただ瞳を強く瞑り、口を閉じるのみ。 その強く瞑られた瞼に歯を当てた。 びくんと一度、腕の中のれいむが跳ねる。 どこにそんな力を残していたのか。 思わず落としてしまいそうになったが、なんとか一瞬バランスを崩す程度で済んだ。 瞼ごと半分に噛み千切った目だったもののれいむに残った側から、 大量のシロップと共に先程の白く濁った流動体が流れる。 本来の涙であるシロップよりもリアルな涙の様に、ゆっくりと下へと流れていく流動体。 それはまるでれいむの諦めを示す様に、どろりどろりと流れて 白い線と陥没した半球体を残して、総て床へと滴り落ちた。 ────────────────────────────────── れいむの瞳から流動体が尽きるのを確認すると、お姉さんはれいむを床に置き、 不器用な白玉模様の膜が張ったあんよをお姉さんの側に、そして顔が横にくる様に寝かせた。 そして自分も、れいむのあんよに顔を向けて寝転がった。 「さあ、れいむ。 これで最後。 もう楽になれるから、ゆっくりしてね」 もう残っていない瞳と、役目を成さない瞳から大量のシロップを流すのみの反応となったれいむに お姉さんは優しく、まるで聖母のような声で語りかけた。 そして、れいむのあんよに大きく口を開いて齧りついた。 何度目かわからない大きな痙攣。 特にそれを気にすることもなく、手でれいむを抑えつけてどんどん齧りついていく。 れいむのあんよの中心から、まるで掘り進む様に。 餡子の海に、その顔を沈ませてゆく。 餡子と一緒に歯だったものを一緒に飲んでも、そのまま、れいむの中へと齧り進んでゆく。 時折、埋まりかけた顔をれいむから離してぷはぁ、と大きく息を吸うと再度れいむの中心の穴を広げてゆく。 その顔が餡子で濡れても、髪に餡子がたっぷりついても。 頭までたっぷり入りこんだ頃、特に粘度も甘みも、旨みも強い部分に辿り着いた。 舌を出してそこを軽く突くと、永遠にゆっくりしかけているれいむの体が強く弾かれた。 それを確認すると、大きく口を開いて、 中枢餡を大きく齧り抜いた。 大きくばん、とれいむの体が跳ねるとお姉さんの頬に、強く打たれた様な刺激が襲った。 それきり、れいむが動くことは二度となかった。 ────────────────────────────────── そこからは早かった。 中枢餡を食べ尽くすと一旦顔を外に出して手で顔に付いた餡子を軽く拭って、 ぶつぶつと音を鳴らしながら髪の毛ごと頭皮を喰らい、結んであるリボンを外して 後ろ半分を全部平らげて奇妙な餡子皿の様な形となったれいむだったものを見ながら、 布を食用にした様な食感のリボンを一口で食べる。…正直、これはあまり美味とは言い難かった。 そうして後ろ側を全部平らげると餡子皿を裏返し、穴の開いたデスマスクを下から食べきった。 頭や体、服に付いた餡子も指で掬い取って口へと運び、 そうして最後はこのために敷いた新品のプラ製のカーペットの上にこびりついた、 餡子と砂糖水を丁寧に舐めとると、放心したような表情でその上に寝転がった。 奇妙な達成感の様なものが、体中を支配していた。 しばらくの間、その感覚に体を任せてぼんやりと寝っ転がっていた。 ────────────────────────────────── そのまま直行でシャワーを浴び、部屋を掃除して餡子塗れの服を洗濯にかけた所で漸く時間を確認した。 既に、午後1時を回っていた。 ──4時間。 たっぷりと待ちに待っただけあって、言いようのない満足感に包まれながらドライヤーをかけた。 ────────────── ドライヤーを終わらせて携帯電話を開くと、10時頃に幼馴染の親友からのメールがあった。 "京華、今日の午後開いてる? バイトなくなったから、ゆうかの散歩がてら ついでに新しいプランターが欲しいから付き合って貰えたら凄い嬉しいんだけど…" かちかちかち、と片手で返信を打つ。 "いいよ。 ちょっと今日は寝坊しちゃったけど…何処で待ち合わせる?" ──断っておくと、私には普段から悶々とゆっくりをこんな目に遭わせたいという気持ちがある訳じゃない。 たまに、ほんのたまに現れる欲求を満たしてくれるだけで良いのだ。 その為に準備するもの以外には、こんな感情を持つことはきっとない。 もしかしたら、ペットにする為に飼うことだってあるかもしれない。 ────────────── 親友のゆうかは可愛かったな、だとか、どんな服を着て行こう、だとか。 すぐにそんな普通の思考へと考え事はシフトされていった。 ◆いろいろ ・お姉さんの名前は亜根 京華 ・狂気+お姉さん からもじってみたりしています。 ・ゆっくり普及直後位なので都会ゆっくりは未だほぼ目につかないレベルです 実は餡庫の方ではぬえの方で2点程SSをうpしておりますが、狩りろだ初投稿です。 お腹が減った状態でバスに乗っていたらふとゆっくり喰いたいという方向で アイデアが浮かび、いつの間にやらこんなHENTAIちっくなSSになっていました。 複数を虐待すると普通に15KB前後にはなるんですが、1匹相手でやると滅茶苦茶大変でした。 改行多い等、改善点が多いかもしれませんが、色々教えて頂けたら嬉しいです。 どうぞよろしくお願いいたします。 「ゆっくりよんだらかんそうさんをきかせてね!!! あまあまでもいいよ!!!」 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ヤンデレお姉さんww -- 2018-01-04 12 15 41 霊夢は黙ってれば可愛いのになあ…と言うか早苗さん虐も見たい(切実) -- 2017-11-12 12 39 40 なんか饅頭食ってるSS読んでるだけなのにカニバリズムの小説読んでる時と同じ感覚が… -- 2012-07-02 14 56 04 このお姉さん全体的になんかエロぅい -- 2011-08-20 06 30 16 これめっちゃおもしれえ!!最高にQNQN出来たよ!! 生きながらにジワジワ食いちぎるとかゾクゾクしますねw 私だったらゆっくりの悲鳴を楽しみたいので舌は最後の方までとっておくかなw -- 2011-07-20 13 11 17 ↓禿同 「おねえさん、もしかしてれいむのためにふぁーすとちゅっちゅとっておいたのかな?おねえさんとなられいむ、ふぁーすとちゅっちゅしてもいいな…」 ………………………………………………………キモすぎる死ね! -- 2011-01-16 15 50 37 最初にいきなり媚びはじめたれいむに生理的嫌悪をおぼえた -- 2010-10-29 17 14 40 お、おいしそう -- 2010-08-13 22 52 59 無残に潰されずに、饅頭本来の役目を果たせたんだ、もっと自分を誇れば良いよ、れいむw -- 2010-08-05 02 47 17 踊り食い見たいなもんか? -- 2010-08-05 02 08 45 このお姉さん…なんだか私と似たような匂いがするな… 敢えて言うならゆっくり捕食フェチ? -- 2010-07-29 01 41 44 歪んだ愛なんだねー!分かるよー! -- 2010-07-19 14 12 43 虐待お姉さんの亜種ってことじゃね。 -- 2010-07-13 10 04 28 わけがわからん。 -- 2010-06-12 14 50 50
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こいするれいむとゆめのくすり 11KB 虐待-いじめ 愛で ギャグ 自業自得 飼いゆ 幻想郷 愛護人間 ぺにまむ ぬるいじめに満足出来ない方は注意してください ゆっくりが死にません ぬるいじめとコメディです 駄文注意 /***************************************************************/ 幻想郷にゆっくりが現れてどれだけ経っただろうか。 既に野生と野良の区別はつかなくなり、ゆっくりを飼う習慣が広まっていた。 ある者は愛で、新しい家族として幸せに暮らした。 ある者は苛め、日々の疲れを癒していた。 そして多くの者は食べ、手軽に食せる甘味として楽しんでいた。 とても便利で汎用性のあるお饅頭。 人間の里を中心に利用は今も尚、拡大の一途を辿っている。 ある日、里に住むお兄さんは悩んでいた。 理由は簡単、飼いゆのれいむの調子が良く無いからだ。 目の下にはクマができて顔色が悪い。 肌は黒ずんでいて自慢のおりぼんも萎れている。 どこから見ても一目で以上だと分かった。 「なあれいむ?大丈夫・・・じゃないよな?何があったんだ?」 お兄さんは心配で聞いてみた。 しかしれいむは答えない。 何かブツブツ呟いていて聞こえていないようだった。 「れぇぇぇぇいぃぃぃぃぃぃむぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 「ゆわぁ!!なんなのおにいさん・・・ゆっくりおどかさないでね?」 「聞いてないオマエが悪い。で、調子悪いみたいだけどどうしたんだ?」 「それは・・・ゆぅゆぅ・・・」 れいむは言い澱んだ。 心なしか頬を赤く染めているようにも見える。 「まさか・・・好きな奴でもできたか?」 「ゆえっ!どぼじでわかったのぉぉぉぉぉぉぉ!?」 やはりそのようだった。 ゆっくりにも恋煩いというものがあったようだ。 その瞬間、お兄さんは不思議と腹立たしさを感じた。 まるでケンカをする前の様なあの感覚だった。 しかしそれは直ぐに収まり、興味はれいむの恋煩いへと戻っていった。 「誰が好きなんだ?お兄さんに教えてくれよ~♪」 「ゆぅ~いえないよ!はずかしいよ!」 聞いてみるが恥ずかしがって教えてくれない。 それどころか部屋の隅に逃げてしまい、あにゃるをこちらに向けてふりふりしている。 ビキィ また感じた。 今まで無かったことだけに気になる感覚。 でも今優先すべきことはれいむの健康。 そう思いれいむに提案を持ちかけた。 「れいむ、恥ずかしいんなら言わなくてもいい。だけどな、まず体調を良くしないと。」 「・・・・・・ゆゆ?」 ようやく振り向いてくれた。 「いいか?そんな体調の悪いままじゃ何をするにも良い結果を得られるわけがない。だからまずは体調を万全にすることを考えろ。」 「でも・・・まりさのおかおをおもいだすだけでゆっくりすーやすーやできないんだよぉぉぉぉぉ!!」 相手はまりさのようだ。 お兄さんは地主の飼いまりさだろうと思った。 最近では畑に来たイタズラ妖精を追い払ったという素晴らしいまりさだ。 れいむとも面識はあるし他に思いつかないこともそう思わせた一因である。 「それで眠れてないのか・・・」 「ちがうよ・・・すーやすーやしてるよ?」 「はぁ!?」 「すーやすーやはなんとかできるよ?でもゆめさんにまりさがきちゃうからはずかしくておっきしちゃうんだよ!」 「なるほど・・・つまりだ、まりさの夢さえ見なけりゃそれなりに眠れるってことか?」 「ゆ~ん!ゆっくりりかいしてね!」 偉そうな態度が気に食わなかったがそれはいつものこと。 お兄さんはしばらく悩んだ。 夢を変える方法なんてそうあるとは思えない。 博麗の巫女や妖怪たちのように特殊な能力があるなら話は別なのだが。 「あっ・・・」 「ゆ?」 お兄さんは妙案を思いついた。 特別な能力を持つ者の作った薬なら効果があるのではないか、と。 「永遠亭の薬ならもしかしたら・・・」 「おくすりさん!?いやだよ!にがにがさんはゆっくりできないよ!」 しかしお兄さんにはれいむの声が届かない。 既にお兄さんの声はれいむに向けられておらず、独り言になっていた。 「確か里の外れにいたあいつもゆっくりの夢で悩んでたな・・・れいむ!少し待ってろ、直ぐに戻る!」 「ゆゆ!?おにいさん!ゆっくりまってね!」 お兄さんは一方的にそう告げると家を飛び出して行ってしまった。 里の外れと言ってもそう大きくはない里なのですぐに着いた。 ドンドン!ドンドン! 戸を叩く音が響く。 加減はしているものの壊れてしまうかもしれない程だった。 「おい!いるんだろ!?用があるんだ!」 「うっさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」 家主が飛び出してくる。 その顔は正に鬼の形相と言えるものだった。 しかしお兄さんは怯むこと無く続けた。 「お前!ゆっくりの夢に効く薬もってたよな!?」 「ええ?・・・まぁ持ってるけど?」 家主のお姉さんはお兄さんの勢いに圧倒され先程までの怒りを消されてしまった。 そしてお兄さんの勢いはまだ続いた。 「それ!くれ!」 「はぁ?」 「金は後で払うから!」 「・・・どれくらい必要なの?」 「一つあればいい!」 「でも・・・いいの?あれは・・・」 「必要だから言ってるんだよ!頼む・・・この通りだ!」 お兄さんはその場に正座し、地面に頭を擦り付けて懇願した。 「ちょ!?・・・やめてよ!外れとは言え人に見られたら恥ずかしいでしょ!・・・わかったわよ!ちょっと待ってなさい。」 お姉さんはため息混じりに家の中に戻ると少し経ってから紙包みを持って戻ってきた。 とても疲れたような顔をして。 「はい、これよ。でもあんた飼ってるのって・・・」 「すまない!ありがとな!代金と礼は今度必ずするから!じゃあな!」 「あ・・・ちょっと!」 お姉さんの話が耳に入らないのだろう。 聞く耳を持たないお兄さんは一方的に礼を言って再び走り出していた。 戸の前で立つお姉さんはさっきより深いため息をついて呆然とするしかなかった。 「なんなのよいったい・・・」 お兄さんは全力で走っていた。 何がここまでさせるのかはお兄さんにも分からなかった。 ただ一つ分かるのは一刻も早くれいむにこの薬を飲ませたいということだけ。 そんなことを考えながらお兄さんは走り続けた。 「ただいま!れいむ!」 「ゆゆ?ゆっくりおかえりなさい!」 ハァハァと荒い息をしながらお兄さんは紙包みをれいむに手渡す。 れいむはもみあげでそれを掴むと小首を傾げる様な仕草で聞いた。 「おにいさん・・・なんなのこれ?」 「さっき言っただろ・・・くすりだ・・・よ・・・くすり。いい夢見れる奴・・・」 「どんなゆめさんがみれるの?」 「えーっとちょっと待て・・・確か、蝶になってふわふわ飛んでる夢・・・だったかな?」 「ちょーちょさん!?おそらをとべるの!?ゆわぁぁ・・・ゆっくりできるねぇ・・・」 れいむは夢の想像をしてるようだった。 だらしなく開けられた口からは涎が垂れている。 両目も上方を向いていてヘブン状態一歩手前といった所だった。 今のれいむなら薬を飲まなくてもまりさの夢を見ないかもしれない。 そう思わせるほど幸せそうな様子だった。 夜になって薬を飲む時がやってきた。 お兄さんが紙包みから丸薬を出す。 「ほら、飲め。」 「ゆっくりがんばるよ!」 れいむは恐る恐る丸薬を口に含むとピタリと動きを止めた。 微動だにしない、とはこの事だろう。 まるで時間を止められたように、瞬き一つ、もみあげの一本に至るまで動きはしなかった。 「れ・・・れいむ?どうした?」 「・・・に・・・に」 「に?」 「・・・にがいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!これどくはいってるぅぅぅぅ!!」 先程までとはうって変わって叫びながらびったんびったん飛び跳ねたりゴロゴロと転がり始めた。 壁にぶつかっては向きを変え、ちゃぶ台にぶつかっては勢いを増した。 その結果はひどいものだった。 壁には亀裂が生じ、棚は一部壊れ、戸は外れその拍子で紙が破れた。 更にはうるさいとの苦情が近所から次々と飛んできた。 当のれいむも無事では無かった。 全身黒い痣と擦り傷だらけ。 しかし疲れたおかげですーやすーやと口にしながら鼻ちょうちんを作って夢の国へ旅立っていた。 強く握った拳をゆっくりと降ろし、お兄さんは怒りを鎮めながら戸の修理に取り掛かった。 「ふぅ・・・」 戸の修理が終わった。 作業に集中していたら怒りは綺麗さっぱり消えていた。 「あ、そういえばれいむは・・・」 忘れていた。 さぞや良い夢を見ていることだろうと笑顔でれいむの寝顔を見る。 「・・・え!?」 目の前にいたのはピクピクと痙攣し餡子を吐き出しているれいむ。 急いで吐いた餡子を取り除き介抱する。 「おい!れいむ!しっかりしろ!」 「ゆぎぎぎぎぎぎぎ・・・・・・」 とてもじゃないがゆっくりしていない。 痙攣している以外に体の形まで変わっている。 まるで顔面に強風を受けているかのように後部へわずかに伸びていた。 「どうしたんだよ!?おい!」 「ひゃ・・・ひゃやすぎだよぉぉぉぉ・・・ゆっくりしてぇぇぇぇぇ・・・」 速すぎとれいむは呟いているようだ。 しかし薬はふわふわ飛ぶ蝶の夢のはず。 ゆっくりであるれいむにとっても速すぎるわけは無いのだ。 「おい!起きろ!起きろよ!起きれば楽になるぞ!」 お兄さんはそう考えた。 夢を操る薬なのだから起きれば何とかなると。 だからお兄さんは必死でれいむを揺らした。 「起きろよぉぉぉぉぉ!!」 「ゆぎぎぎぎぎぎぎ・・・すっきりー!」 「おお!?」 「はやいよぉぉぉぉぉぉ・・・ゆっぐりぃぃぃぃぃ・・・ゆぎぎぎぎ・・・」 「すっきりしてんじゃねぇ!!」 一瞬満足気な表情をしてぺにぺにを立てるもすぐに萎れ、表情はまた苦痛を感じさせるものへと変わっていった。 「仕方ない・・・れいむ、少し荒っぽいが許せよ?」 お兄さんはれいむをちゃぶ台の上に置くと立ち上がり、呼吸を整えた。 そして右足を少し後ろへ移し拳を握る。 目を瞑り頭の中で何度も最高のタイミングを想像する。 ・・・そして数分後、お兄さんの目がカッと見開いた。 「ヒャッハァァァァァァァァァァァァ!!!」 一日が終わろうという最中、絶叫が響き渡った。 それと共に見事な拳が繰り出されていた。 繰り出された拳は腰の捻りを受けて威力を最大限に高める。 その最高の拳はぺにぺにの辺りに直撃し、れいむを宙へと誘った。 「ゆぎぎぎぎ・・・もっとおそらを・・・」 ベシャァ! れいむが何かを言い切る前に壁に叩け付けられた。 壁にしばらくくっついたれいむは次第に落ち始め、吐餡すると共に床に着いた。 不思議な高揚感に満たされたお兄さんはアッパーを放った余韻に浸っていた。 しばらくヘブン状態を堪能していたがふと、れいむのことを思い出す。 「あ・・・れいむ!大丈夫か!ごめんやりすぎた!」 「ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ・・・」 瀕死状態の痙攣へと状態を移していた。 「うわぁぁぁ!!オレンジジュースはどこだぁ!?」 慌ててオレンジジュースをかける。 すると、さっきの擦り傷等を含めてみるみる治っていった。 「あまあま~・・・ゆあ!?どぼじでれいむはここですーやすーやしてるの!?おふとんさんは!?」 「れいむ?大丈夫か?」 「ゆゆ!おにいさん!ゆっくりおはよう!」 れいむはやけにツヤツヤとした肌で元気な姿を見せた。 「ゆげぇ!?どぼじであんこさんがこんなにおちてるのぉぉぉぉ!? どぼじでおうちがぼーろぼーろになってるのぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 その様子から完全に覚えていない事を確認した。 お兄さんは脱力のあまりその場に崩れるしかなかった。 そして意識が遠くなる。 傍でれいむの声が聴こえるがもうどうでもよかった。 「ばっかじゃないの!?」 翌日、お兄さんの家にはお姉さんの怒号が響いていた。 心配になったお姉さんが朝になって様子を見に来たところ、倒れているお兄さんと泣いているれいむを発見したそうだ。 それから慌てて介抱して先程ようやく目が覚めたのである。 「あれは胡蝶夢丸ナイトメアなの!退屈に殺される妖怪のために作られた悪夢を見るための薬よ!?」 「・・・なんでお前がそんなの持ってんだよ・・・人間なのに。」 「それは家のてんこが夢が退屈すぎるって言うからよ!」 「てんこ?」 「そうよ、この前から飼い始めたの・・・薬のおかげで寝ている間はあの子、常時ヘブン状態よ。」 「それじゃあオレが必要だったのは・・・」 「胡蝶夢丸!ナイトメアじゃない方!」 原因は話を聞かないお兄さんにあった。 つまりはそういうことだった。 「そんな・・・」 ドサッ ショックが大きかったのだろう。 自業自得とは言え重なる心労に再び倒れてしまう。 「ちょっと・・・大丈夫?・・・って熱があるじゃない!?」 再び倒れるお兄さんに布団をかけるとお姉さんは慌ててドタバタと薬を探し回る。 れいむはその様子をしばらく眺め、満面の笑顔でお兄さんに告げた。 「おにいさん!ゆっくりしなきゃだめだよ?ゆっくりしていってね!」 ビッキィ!! お兄さんはフラフラと起き上がると弱々しく拳を握った。 「お前が・・・言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 弱々しく握られた割には見事な一撃が放たれた。 再び宙を舞うれいむ。 そしてれいむが地面に落ちるのと同時に三度倒れこむお兄さん。 平和な里の中にはお姉さんの悲鳴だけが響いていた。 /***************************************************************/ あとがき 本作品を読んで頂きありがとうございます。 前回「まりさのわらいごえ」を書いた者です。 感想くれた方ありがとうございました。 今回は続きではなく違う分野のものを書いてみました。 前回の感想からなるべく気をつけて書き上げたつもりです。 しかしまだまだお見苦しい点があると思います。 よかったら感想で教えてください。 ここまで読んで頂きありがとうございました。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 幻想郷設定はあまり書かない方がいいっすよ。 原作側がゆっくりとは無関係と公言しているので。 -- 2018-03-21 19 36 42
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「ゆっくりしていってね!」 何処かから侵入して来た、金色のバッジをつけたれいむが俺に声をかける。 ゆっくりするも何も俺の家の庭だよ。 「ここはなかなかゆっくり出来そうなぷれいすだね。 れいむのおうちにするよ!」 戯言をほざくれいむを無視して庭のハーブに水をやる。 各種ミントやローズマリー、レモンバーム、他にも色々。 今日は少し暑いし、ミントティーでも作ろうか。 「お兄さん!ここはれいむのおうちだよ!お兄さんはゆっく…」 バンッ! れいむに当たらないように注意しながら、思い切り地面を踏む。 れいむはビクッと体を震わせる。 「いいか。お前は俺の家の庭に勝手に入ってきている。 本来なら踏み潰されても文句は言えないんだ。 今すぐ出て行け。忠告したからな。不細工な餡子脳でも俺の言った意味位わかるな?」 「どうしてそんなこというのっ!? れいむはかわいいんだよっ。 わかった…おにいさんはゆっくりできないばかなひとなんだね! どれいにいってこらしめてあげるよ! もうこうかいしてもおそいよ!」 キラリと金色に光るバッジを見せつけながら自信満々に台詞を喋るれいむ。 現在位置発信機能搭載型か。都市部でよく見る型のバッジだな。 緊急ボタンを押せば飼い主が契約してるセキュリティー企業から派遣された 業者が駆けつけてくるはずだ。 業者が家に入るのを拒むことも出来るが、その場合は飼い主が血相を変えて 怒鳴り込んでくるだろう。 場合によっては、ゆっくりを誘拐したとか言いかねないかもしれない。 下手すると裁判所から手紙が来ることになる。 「そのバッジがどうかしたのか?」 「ゆゆっ!きんいろバッジのかちもわからないなんて、ほんとうのばかだね! このバッジはすごいんだよっ。とくべつなゆっくりにしかあたえられないんだよ!」 「へぇー」 「ゆっくりショップでもきんいろバッジをつけているゆっくりはめったにいないよ! こんなすばらしいれいむをみられるだけでもかんどうものなんだよ! それにこのきんいろバッジのボタンをおすと、どれいがすぐにくるんだよ。 ゆっくりできないばかはゆっくりしないでしんでねっ!」 確かに金色バッジをつけられるゆっくりは多くない。本来ならば。 最近は飼い主の見栄から大金を積んで金色バッジを獲得したゆっくりも増えている。 目の前のこいつは本当は銅色バッジですら危ないだろうに…よく飼う気になったもんだ。 手のかかるゆっくりほど可愛い、という変態かね? お下げを使って器用に金色バッジのボタンを押すれいむ。 おそらく業者は10分もしない内に来るはずだ。 れいむはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。 ゆっくり種対象のセキュリティ企業によって構成されている、ゆっくりセキュリティ協会で 公表されている統計データを思い起こす。 そのデータでは緊急ボタンを押したゆっくりの生存率は5分で7割、8分で5割 10分を過ぎると3割以下になると書かれていたはずだ。 ゆっくりという生き物の脆弱さを考えれば至極普通の数値だろう。 事実ゆっくりセキュリティ協会のサイトでも飼いゆっくりを自由に外に出すことは危険だと 強調している。本来ゆっくりなんて外に出していい生き物じゃない。 きっちりとした教育を受けたゆっくりならば飼い主と一緒ではない限り外に出たりしない。 もし外に出たとしても決して飼い主の目の届かない距離には行かない。 飼い主の保護を直接受けられない場所へ出て行くことが極めて危険であることもわからないのが ゆっくりらしいといえばらしいのだけど。 そしてそのゆっくりらしさが企業の儲けの源泉でもあるのだろう。 なおセキュリティ各社で多少の差はあるものの、現場に派遣された業者が到着するのは平均8~10分は かかるようだ。 結果的に業者の仕事の半分以上は死骸回収になる。 だからかセキュリティ企業に勤める人は意外と虐待派もいるらしい。 飼いゆっくりがどんな最期を迎えたのかを想像することが、この上なく楽しいと思うタイプの人には 向いているのかもしれない。俺は想像よりは虐待する方が好きだけど。 今回も業者の人の仕事は死骸回収作業になるだろう。 飼い主のクレームを受けるのも仕事の内だろうから同情はしない。 一度部屋にもどって今回の道具を持ってくることにする。 虐待用に使用している部屋の扉を開けると、中に居るゆっくり共が皆こちらを不安そうな顔で見る。 俺が胴付れみりゃ親子のゲージの前に来ると部屋の中の空気がさらに緊張したものとなる。 いつも自分達の赤ゆっくりを食われたり、おもちゃにされたりしているからな。 他ゆっくり向け虐待道具として飼っているが、俺はれみりゃが嫌いだ。 しゃべりかたが特にイラッとくる。何がおぜうさま(笑)だ。肉饅め。 れみりゃを理不尽に暴力で死の手前まで追い込むことなど日常茶飯事で、子れみりゃは3匹生まれたが 既に2匹は俺の気まぐれな虐待で死亡している。 残りの1匹もおぜうさまとしての矜持などとっくの昔に粉砕されて、ストレス過多でいつ死んでもおかしくない。 そんな腐りかけた肉饅の子れみりゃでも、俺が虐待すると親れみりゃは気が狂わんばかりに大声で無様に泣き叫ぶ。 美しき親子愛だね。死ねよ。 電話が鳴っている。 おそらくれいむの飼い主が契約しているセキュリティ業者が、俺の家に迷い込んだれいむを保護する許可を求める 内容だろうから無視。 聞いた話では保護に協力するとセキュリティ業者から謝礼と場合によっては飼い主からのお礼が届くらしいが 俺は別に謝礼が欲しい訳じゃない。 「むーしゃ、むーしゃ…それなりー」 窓から庭のハーブを齧りながら勝手な感想を言う餡子餅の姿が見える。 携帯電話のカメラ機能でハーブを齧るれいむを何枚も撮る。 「れみりゃ。さっき俺が言ったこと理解しているな?」 「はいっ!あのれいむをゆっくりできなくすることですっ!れいむであそんだりしません!」 ビクビクと怯えながら返事をする親れみりゃ。 「そうだ。もし上手く出来れば、おまえら親子をあの部屋から出してやってもいいぞ。」 「はいっ、がんばります!」 親れみりゃは極度の緊張と現状を打開する微かな希望に満ちた声で元気よく返事する。 子れみりゃは親れみりゃの後ろに隠れて俺を伺っている。 れみりゃ親子をれいむから見えないように配置してから、れいむへ声をかける。 「…ハーブ美味いか?」 「ゆっ、まだいたの?この草ふしあわせーじゃないけど、しあわせーでもないよ。 れいむはもっとあまあまのようなものをたべたいよ! はやくもってきてね。ぐずなばかでも、あまあまをもってくることはできるよね? はやくもってこないとれいむ、おこるよっ!」 ぴこぴことお下げを動かしながら、ぷくーと膨れ面をするれいむ。 「そうか。あまあまは残念ながらないけど、肉饅ならあるぞ。」 「あまあまがないなんてやっぱりぐずなばかだね!しょうがないからにくまんでゆるしてあげるよ。 かんだいなれいむにかんしゃしないとだめだよ!」 「まあそう怒るな。可愛い(失笑)れいむが台無しだぞ。 ほら、肉饅だ。二つあるから二つともやるよ。」 うっうー!とキモい声で鳴く肉饅を両手で掴んでれいむの眼前に差し出す。 今まで眼前の人間よりも自分が優位に立っていた(と勝手に思い込んでいた)れいむの顔色が 真っ青になる。 「ぞれ゛はに゛ぐま゛んじゃないでしょー! い゛や゛ぁぁぁ!!れみりゃ、い゛や゛だぁぁぁ!!!」 「おぜうさまのためにぎせいになるんだどぉ!」 「ぎせいになることはとってもめいよなことなんだどぉー!!」 必死で逃げるれいむ。そのれいむに自分たちの未来がかかっているので必死でおいかけるれみりゃ親子。 本来捕食者と被捕食者の関係にある両者が競争すれば、結果は明らかだ。 がしっと親れみりゃの右手がれいむをつかむ。 普段ならば本能的に捕まえたゆっくりを虐めて中身の味を向上させるのだが、今回はそんなことを しれいられない。そのままがぶり、と親れみりゃがれいむを齧る。 「い゛だい゛よぉぉぉー!!!ぐずはみてないではやくたすけろぉぉぉ!!!」 「ん~?いつものれいむとあじがちがうどぉ。なんだかいいにおいのするれいむだどぉ~ いっしょにたべるどぉ~」 かぷり、と子れみりゃもれいむを齧りだす。 「おいしいどぉ!これはおぜうさまにぴったりなえれがんとなあじだどぉ~ …これはおいしくないからポイだどぉ~」 食べられない金色バッジを放り投げる子れみりゃ。 二匹のれみりゃがれいむを浅ましく貪る。 「や゛め゛でぇぇぇぇ!!!れいむたべないでぇぇぇ!!!」 だがれみりゃ親子にはれいむの台詞など耳に入っていない。 「おーい、写真とるぞー こっち向けー」 「きれいにとってほしいんだどぉー!」 「おぜうさまはみんなのにんきものなんだどぉー」 「はいはい。ほら、撮るぞ。れいむを真ん中にして撮るから。」 パシャ、パシャと数枚の写真を携帯電話で撮影する。 口元を汚した二匹のれみりゃが、口元の汚れの原因のれいむと仲良く一緒に写っている。 「も゛うやだぁぁ…れ゛いむ゛…おうち…かえ…る… だれか…だすげ…ろぉ…はやぐぅぅ…!」 既に餡子が出すぎたため、放置していても死ぬのは確実だ。 確実だけど、最期にれいむに絶望で彩られた素敵な思い出つくってあげないとね。 「 ゆ っ く り し ん で ね ! もう助からないよ。絶対に。 オレンジジュースのペットボトル丸ごとかけても無理だから。 あとさ、お前おうち帰るって言わなかった? お前のおうちは此処だろう、れいむ。 さっき自分で言ったじゃないか。『ここはれいむのおうちだよ!』って。 もう忘れたのかな?ばかなの?れいむだからばかなの?」 「ゆぎぃ…の゛ろ゛っでや゛るぅ…じねぇ…じんで…じま゛え…」 「お前等に呪われる度に死んでたら命幾つあっても足りねえよ、ボケ。 そんなこともわからないんだねーかわいそうな子なんだねー」 「あ゛あ゛…あ゛…も゛っ…どゆ゛っ…くり…じたがっだ…よ゛…」 クワッと目を見開くれいむ。 れいむの黒目がぐるり、と上へ向き意識によって体内に止められていたうんうんを垂れ流し出す。 お金持ちの飼いゆっくりの座という、ゆっくり達が捜し求めるぷれいす中でも頂上に位置する ゆっくりぷれいすを手に入れながら、生来の愚かさ故にそのぷれいすを失ったれいむは今死んだ。 残り少ないハーブ入り餡子饅頭をれみりゃ親子は幸せそうに頬張る。 与えられた任務が達成できた喜びを気色の悪いおぜうさまダンスで表現する親れみりゃ。 子れみりゃも親れみりゃにつられて拙いダンスを披露する。 餡子でべちゃべちゃに汚れた口からうっうー、と耳障りな間延びした 声を出して踊るれみりゃ親子。 足元には金色バッジと2本のお下げ、それとれみりゃに踏まれて 土だらけの2つのリボン。 呼び鈴がなった。 予想通り業者の人だった。 飼いれいむがいる筈なので保護させてほしい、と。 名刺を貰ってから、素直にれいむが居た場所へと通す。 れいむだった残滓を見て業者の人はため息をつく。 「一応確認なのですが、貴方がやった訳ではありませんね?」 「ええ。『たまたま居た』れみりゃ達が、探されているれいむを食べてしまいました。 見てましたから。」 「では、貴方はれみりゃに襲われているれいむを助けなかったんですか?」 「はい。ああ、飼いゆっくりに危害を加えることが条例で禁じられているのは勿論わかっていますよ。 でも条例では危害を加えるのが禁じられているだけで、勝手に私有地に入ってきた上に 人の物を荒らす馬鹿で間抜けな飼いゆっくりを保護する義務なんて、どこにも記載されて いませんから。私の言い分、何か間違っていますか?」 「間違ってはいませんが……あの、貴方はゆっくりが嫌いなのですか?」 「嫌いなゆっくりもいる、というのが一番わかりやすいでしょうね。 れみりゃは嫌いです。存在そのものがイラッとするんで。 残りのゆっくりは特にどうとも思いません。ただ人の土地に入って自分のおうちだ、とかいう 馬鹿は種類を問わず大嫌いです。きっちりと躾けられた飼いゆっくりや、ゆっくりという身の程を わきまえている分別ある野良ゆっくりはむしろ好きな方かもしれませんね。」 「そうですか… では一応このれみりゃ2匹をれいむを殺害したということで処分する、という形にしたいのですが宜しいでしょうか?」 「勿論ですよ。煩いでしょうから、1匹今潰しますよ。」 相手の返事を聞かずに子れみりゃを頭から踏み潰す。 靴の下からなかなか食欲をそそる匂いが立ち込める。 「そんなことしなくて良いですから!こちらで全て処分しますから!」 「そうですか?じゃ、お願いしますね。」 「れいむとれみりゃを入れる袋とってきますから、その間その大きな方のれみりゃ捕まえていてください。 潰さない様にしてくださいね!」 親れみりゃを見るとまだ状況を把握しきれていないのか、呆然とした表情で潰された子れみりゃを 揺すっている。 まるで眠ってしまった子供を優しく起こす母親だな、とふと思った。 夢から覚めないと駄目なのは親れみりゃの方だけど。 親れみりゃの顔に足を近づけて、子れみりゃの顔だったものを見せる。 さっきより可愛くなった子れみりゃと感動のご対面だ。 顔をくしゃくしゃに歪める親れみりゃ。 そりゃそうだ、もう虐待されなくて済むはずだったのに。 最後に残った1匹とようやく幸せに暮らすはずだったのにね。 もう無理だもんね。あはは。 「れ、れみりゃの…れみりゃのぶり゛でぃ゛ーな゛ごども゛がぁぁぁぁ!!!! どおして…どおしてぇぇぇ!!!?」 「黙れよ。お前のその声、俺は大嫌いなんだ。 少し静かにしろよ。 それにしてもお前等、本物の馬鹿だったんだな。 飛んで逃げればよかったのに。背中にある羽根は偽物か?」 うつ伏せになる様に背中を踏みつけながら声をかけてやる。 俺が喋った羽根を使って飛んで逃げる、という手段に気づいた親れみりゃは 必死で逃げようとしている。れみりゃを潰さない様に足に加える力を加減する。 ジタバタともがく様子はお嬢様どころか亀だ。 でも、俺はおぜうさまダンスを踊ってる時よりも今のその姿の方が好きだよ。 その間抜けな短い手足がとってもぷりてぃーだよ、れみりゃ。 「袋取って来ましたから、もう離して良いですよ。」 「あ、そうですか。じゃ、お願いしますね。あと念のためもう一度言っておきますが、このれみりゃは 野良のれみりゃですから。私は自分の飼うゆっくりにはちゃんとバッジつけて、家の中で飼いますし。 もしも外に出るときには私から絶対離れない様にしますんで。」 業者の人は俺の皮肉に気づいているのだろうけど、特に反応せずに親れみりゃと、子れみりゃだった肉饅 それにれいむのお下げ、リボン、金色バッジを袋に詰め込む。 「ご迷惑おかけしました。回収作業終わりました。」 「あ、そうだ。もしれいむの飼い主さんが何か言ってきたらこの写真見せてあげてください。 れいむが私の庭で育てているハーブを勝手に食べている写真、れみりゃ達がれいむを 食べている写真です。先程頂いた名刺に書かれているアドレスに送っておきますので。」 「…ありがとうございます。では、失礼致します。」 全くそう思っていない口調で挨拶すると、業者の人は去っていった。 袋からはれみりゃの叫び声が漏れ出している。悲しみと怒りと絶望が良い感じにブレンドされている。 酷く醜く、それでいて妙に心地よい響きだ。 あの親れみりゃに待っている未来は、せいぜいれいむの飼い主の持って行き様の無い怒りの 発散道具か、加工所行きのどちらかだろうなぁ。 ま、どっちになるにしても残りの余生をゆっくり楽しく過ごしてね。 ばいばい、れみりゃ。 後書き 初めてゆっくり虐待もの書いてみました。 今までは見てるだけだったのですが、ふと書いてみたくなりまして。 バッジの色を金で左右できるとか、ゆっくり向けのセキュリティーサービス企業とか 思いついたものを勝手に入れてます。 少しでも面白いと思ってくだされば幸いです。 またアイデアが浮かんだら気ままに書いてみたいと思います。 このSSに感想をつける
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昔なつかしゆっくりれいむ 02 作:YT 月曜日。ゆっくりがもそもそと起きて来て、朝日に向かって元気に叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 それを見ていると何かむらむらしてきて、洗濯物を入れるバケツを持って来てゆっくりを放り込んだ。 ぼすっ。 「ゆゆっ? 出られないよ? ここはどこ?」 丸い体がすっぽりはまって、動くに動けないゆっくり。 真上から見ると、赤い髪飾りが左右に回転して面白い。 ぐるぐるぐる。ぐるぐるぐる。 けれどもぐらぐらやっているうちにバケツごとごろんと転がって、今度は頭にかぶっちゃった。 「なにするの! れいむおこるよ! やっつけるからね?」 叫んで激しくぴょんぴょんと跳ねる。けれどもそれぐらいじゃバケツは外れない。 そのうちれいむは動き出したけど、のそのそ走っては壁にぶつかり、跳ね返ってはクッションに埋まっちゃった。 のそのそのそ……ゴンッ! ふらふらふら……ドサッ! よろよろよろ……バサバサッ! 最後のは本棚にぶつかって振ってきた本に埋まった音だ。 にっちもさっちも行かなくなったれいむは、とうとう泣き出した。 「ゆああああ、ぜんぜんうごけないよ! れいむもうおこったよ! ほんとうにゆるさないからね! やっつけてやるよ!」 ドサドサ、バサッ、ばたんばたん! 暴れまくったけれど、本をどけることは出来なかった。 そのうちに動きが止まって、変な声が漏れてきた。 「ゆううぅぅぅ……ゆううぇぇぇぇぇぇん……」 泣いちゃった。その後もれいむはずーっとめそめそ泣いていた。 三時間ぐらいしてから掘り出してみると、涙の後をつけたまんま眠り込んでいた。 火曜日。エサ皿を前にしたゆっくりが、ぱああと顔を輝かせて言う。 「ゆっくりいただきます! むーしゃ、むーしゃ……しあわせー!」 それを見てるとまたむらむらしてきて、私はエサ皿を持ち上げた。 へにょ、とゆっくりは困った顔になる。 「ゆっ? ごはんが消えたよ? どこー! れいむのごはんどこー!」 あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。 頼りない泣きそうな顔で、ごはんを探し回る。 少したってから床に下ろしてやると、遠くからそれを見つけた。 「ゆっ! れいむのごはん! もうにがさないよ!」 ぴょん、ぴょん、ぴょんっ! 元気に勢いよく飛んできたので、目の前で持ち上げた。 スーッ。 「ゆあああ! ごはん! れいむのごーはーんー!」 あっという間に泣き顔になって、必死に飛びつこうとする。 ぴょーん、ぴょーん、ぴょーん! ぼてっ。 高さが全然届かずに、ひっくり返るだけなんだけど。 「ゆううう、ゆあああ」 また泣き顔になって口を曲げたれいむは、だだをこねだした。 「れいむのごはんー! とどかないよー! ゆっくりたべたいよー!」 泣きわめきながら仰向けになって左右に転がる。 ごろんごろん、ごろんごろん。 私はそれをたっぷり見つめて、にやにやしちゃった。 それからまた、エサ皿をいったん下ろした。喜んでれいむがやってくる。 そこで電気を消して真っ暗にして、その間に取り上げた。 また電気をつけると、れいむがすごく驚いた顔になって叫んでいた。 「ゆっくり!? れいむのごはんがきえたよ! はやくでてきてね!」 出さずに焦らしていると、またまたれいむは泣いちゃった。 さんざんれいむを泣かせた後で、やっとエサを下ろしてやった。 「ひっくひっく……むーしゃむーしゃ……むーしゃ、むーしゃ!」 食べているうちに元気が出たのか、すぐにゆっくりは元の勝気な顔に戻ってた。 水曜日。妹から電動のわんこのぬいぐるみを借りて、部屋に入れた。 わんこは四本の脚を動かしてすすんでいく。 ジーコ・ジーコ・ジーコ・ジーコ……。 「ゆゆっ? ゆっくりにげるよ!」 ぴょーんぴょーん、と逃げ出すれいむ。 ジーコ・ジーコと追っかけるわんこ。 「ゆっゆっ! ゆっくり逃げるよ!」 得意になって逃げてたれいむも、十分もするともう息が切れた。 無表情のまま涙を流してへたりこんじゃう。 「ゆはっ! ゆはっ! ゆはっ! ……」 そこへじっくり近づくわんこ。 ジーコ・ジーコ・ジーコ。 「ゆゆっ? ゆっくりしていってね!!! ゆっくりこないでね!」 ゆっくりが叫んだけど、わんこが聞くわきゃない。 どんどん進んで、転がってるゆくっりのほっぺたにぶつかった。 ジーコ・ジーコ・ジーコ……ぽむっ、ジーゴ・ジーゴ・ジーゴ。 「ゆああああ! やめてね! けらないでね! けらないでね!」 ほっぺたをわんこの脚でけりけりされて、形を変えながら左右に首を振った。 ぶにぶにぶに。ぶんぶんぶん。 とっとと逃げればいいのに、わんこを避けるのに必死で逃げ出せないらしい。 それを見た私はけらけら笑っちゃった。 木曜日。 「れいむ、おいで。ブラッシングしてあげるよ」 「ゆっゆっ♪ ゆゆっ? なんだか高いよ! むこうがよくみえる!」 椅子に座って抱き上げると、見晴らしがよくなってれいむは喜んだ。 ブラッシングを始めると、気持ちいいのか、そのまますやすやと寝ちゃった。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆぅ……」 私はれいむの髪の毛をひと房ずつ梳いてあげた。 きれいな黒髪だけど、先っちょのほうにはほこりが絡まってる。 むりもない。ずっと床の上を這い回ってるからね。モップみたいなもんだ。 取りながらほっぺをつまむ。むにむに、むにむに、とおもちの感触がする。 おもちなのに生きてるなんて……不思議だなー。 私はれいむのほっぺを両手で挟んで、正面からよーく見たみた。 眉は、ある。ピンと左右に跳ねた細いのが。 でも……なんか、人間みたいな眉毛が生えてないよ? 筆で書いてある感じだ。 「れいむ、れいむ」 「ゆっ? ゆっくりしていってね!!!」 目の醒めたれいむが、ぱちぱちと瞬きした。けど……。 目、丸くない。 黒目と白目があるけど、虹彩がない。 ベターッとした、ようかんみたいな茶色い部分になってる。 どこを見てるかわかんない……(汗 「ゆっゆっ♪ ゆっゆっゆっ♪」 楽しそうに声を漏らす口にも、唇がない。なんか白い切れ込みで、中が赤くなってるだけ。 手を入れて、開けてみた。 くわっ。 「ゆあ? やめふぇね! はなひへね!」 舌がヒラヒラ動いているけれど……のどの奥は行き止まりだ。 あれ? あれぇー……? ゆっくりって、目も眉も口も、実は目でもなければ眉でもなくて、口でもないの? 頭みたいに見えるけど、それは人間の勝手な思い込みで、実は顔でもなんでもないとか? 何それ。 ……なんか、急に気味が悪くなってきた。 「えい」 「ゆっ!?」 私はれいむを投げ出した。れいむは床におっこちる。 ぼふん。 「ゆゆっ! ゆっくりしていってね!」 声を上げたれいむは、ぴょんぴょんと窓際に行って座っていた。 金曜日。 れいむの正体がどうしても気になって、確かめることにした。 私はれいむにお酒をたくさん飲ませた。れいむは喜んで飲んだ。 「ぺーろ、ぺーろ、ごきげんー!!!」 何度もぺろぺろしては喜びの声を上げて、しまいには真っ赤になった。 そしてころんと転がって眠り込んじゃった。 「ゆぅゆぅ……ゆぅゆぅ……」 私はそんなれいむを持ち上げて、机に載せた。 まずは試しにほっぺを針で突いてみる。 ツンツンッ。 「ゆぅ……ゆぅ……」 反応なし。よし。 少しあお向け具合にして、鼻のところにマジックでバツ印を引いた。 キュッ。 鼻がないから書きやすい。 そして、それにそってカッターで十字に切った。 スッ、スッ。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆゆ……」 ちょっと動いたけど、まだ目覚めない。お酒がよく効いてるみたい。 それからガラスの試験管を取り出して、バツ印の真ん中に押し付けた。 めりめりめりめりぃ……。 試験管は中に入っていく。とてもスムーズだ。やっぱり骨はないみたい。 最初の三センチを越えると、あとは一気だった。長さ30センチのちょっと長めの試験管が、どんどん入っていった。 めりめり、めりめり、めりめり、むにゅっ……ずぽんっ! 「あ」 貫通した。 れいむの後ろ頭を見ると、髪の中からあんこまみれの試験管が突き出していた。 「ゆぃぃ……ゆぃぃ……ゆぃぃぇ……」 あれ? ちょっと鳴き声が変。 もう一度顔を見ると、薄目の白目っぽい感じになっていた。 これ、やばいのかな。 でもまあ、生きてるからいいのかな……。 考えながら、丸い鏡に柄の付いたデンタルミラーを出す。 試験管にゆっくり入れる。 ペンライトで照らすと、れいむの断面が見えた。 最初の三センチは分厚い白い皮。 よーくみると、なんか小さな粒粒がうにうにむにむに動いてるみたい。 それをすぎると、茶紫色のあんこ。 注意してみたけど、普通のあんこにしか見えない。 8センチぐらいそれが続いた後で、ちょっとだけ色が変わった。 なんか、灰褐色っぽい感じ……? そのとき、ミラーがコツンと試験管の内側に触れた。 「ヲ゛ッ」 ……なんだかれいむがおかしな声を出した(汗 コツン、コツン。 「ヲ゛ッ、ヲェ゛ッ」 声を出しながら痙攣する。口の端からよだれを漏らす。 ビクッ、ビクッ。とろとろー。 「うぇ……」 や、やばい。ここは何か、れいむのとっても大事なところみたい。 下手にいじると死んじゃうかもしれない。 ……まあ、普通の生き物ならとっくに死んでるところだけどさ。 真ん中の餡を過ぎて、奥のほうへ行くと、また元の茶紫色に戻った。 裏側から、後ろ頭の皮をよく見ると、リンスのCMに出てくるような、生きてる毛根の断面が見えた。 だいたい納得できたんで、試験管を引き抜いて前後の穴を塞いであげた。 ずるずるずる……ずぽんっ! ぺたぺたぺた。 それから一時間ぐらいほっといたら、赤くなって転がっていたれいむも目を覚ました。 ぶるぶるぶるっ! ぽぺん。 勢いよく身を震わせて、ぽんと元の姿勢に戻る。そして例のお約束の―― 「ゆっヲ゛りしていってね!!!」 「は?」 「ゆゆっ!?」 驚いて、戸惑った感じできょろきょろするれいむ。 「れいむへんなこえがでたよ! ゆっヲ゛り! ゆっヲ゛りっ!?」 きょろきょろ戸惑ってから、れいむはぴょんぴょん跳ねた。 「やめてね! やめてね! れいむゆっヲ゛りできないよ! ゆううう!?」 「あははははは」 うろたえるれいむがとても面白くて、私はおなかを抱えて笑った。 れいむは夕方までには治った。 中に何か入れといてやればよかったと思った。 土曜日。めっちゃんが来た。私はれいむを抱っこして前の道路に出た。 10メートルぐらい離れて、キャッチボール。ゆっくりを交互に投げる。 ぽーん、ぽーん。ぽーん、ぽーん。 「ゆゆっ! やめて! ゆっく! ゆっぶ!」 ばむっ。 くるくる回って、強くキャッチされるもんだから、れいむは半泣きで悲鳴を上げている。 それをバックにして、私はめっちゃんとおしゃべり。 「それはさー」 「うんー」 「中枢餡だよ」 「ちゅうすうあんー?」 「ゆっくりの脳みそってことー」 「そうなんだー。やっぱり大事なとこ?」 「大事大事。そこ壊すと死んじゃうからねー」 「やっぱりかー」 「わりとポピュラーだよ、そこいじるのはー」 「ふーん」 「あっ、でもえっちゃんは飼ってるんだから、壊さないようにしなくちゃね」 「そだねー。あっ」 ぶぎゅる。 私の手をすっぽ抜けて、れいむがおっこちた。顔面から着地して変な音を立てる。 と思ったら、ぽんっと起き上がって走り出した。 てーんてーん、ぴょんぴょんっ! 「れいむ、もうおうちにかえる! もっとゆっくりしたい!」 「あ、やば」 あわてて追いかけようとするめっちゃんを、私は止めた。 「待って」 「えー、なんで? 逃がしてやるの? もったいないって!」 「そうじゃなくて」 私はめっちゃんと並んで、あぜ道を跳ねていく黒髪頭をしばらく見つめていた。 そして、れいむが森の手前で点のように小さくなったところで、つぶやいた。 「それっ」 一気にダッシュして追いすがる。れいむはもうのろのろになっていて、余裕で追いつけた。 すぐ後ろに立つと、一休みしたれいむがつぶやいていた。 「ゆっくりにげたよ! れいむはやい! とってもはやい!」 「残念でしたー」 油断してきっていたから、簡単に捕まえられた。抱き上げるとれいむはものすごくビタビタ暴れた。 「ゆゆっ、すすめないよ? れいむはすすむよ! ゆっくり、ゆっくりー!」 「でもダメです」 戻ろうとした時。 森の茂みをがさがさと揺らして、もう一頭のゆっくりが出てきた。 私のれいむに向かって、どことなく嫌みったらしい目で得意げに叫ぶ。 「れいむ! ゆっくりしていってね!!!」 私は振り返って叫んだ。 「めっちゃーん! まりさ出た、まりさ!!」 まりさは、捕まったれいむを笑いに来たのかもしれない。 でも速攻で自分も捕まった。 日曜日。 私はこの一週間で、たっぷりゆっくりをいじめてしまった。 だから、日曜日ぐらいはお休みにしてあげるつもりだった。 けれど。 ガシャーン、カラカラン、びしゃー。 部屋で自分の食事の準備をしてちょっと目を離した隙に、まりさとれいむにテーブルをやられた。 戻った私が見たのは、床に落っこちた料理と、ぽんぽん逃げていく二頭。 「ゆっゆっ、ゆっくり逃げるよ!」 「たいりょうだよ! かくれてたべようね!」 そんな声を残して、安全なゆっくりプレイスに逃げ込んだ。 もちろん、安全だと思っているのはれいむたちだけで、その屋根はただのクッションだ。 私は洞穴の前にいって覗き込んだ。二頭が幸せそうに食事をしていた。 「むーしゃ、むーしゃ」「しあわせー!」 「れいむ!」 「まりさ!」 「すーりすーりすーりすーり!!!」 「やわらかいね!」 「あったかいね!」 「ゆっくりしていってね!!!」 むらむらむらっ。 ……あー。 これか。 めっちゃんが言ってたのは、この境地なんだなー。 「れいむ、まりさ」 私はニッコリ笑うと、洞穴に手を突っ込んで、嫌がる二匹を無理やり引きずり出した。 「ゆっゆっやめてね! いたいよ! れいむ出たくないよ!」 「はなしてね! おぼうし脱げちゃうよ! れいむとすりすりしたいよ!」 いろいろ言ってるのを全部無視して、こぼれたご飯のところに連れて行って、一頭ずつお仕置きしてあげた。 ずぴしずぴしずぴしずぴし! ぎゅいーぎゅいーぎゅいー ぱーんぱーんぱーんぱーん! でこピンと、ほっぺつねりと、おビンタをたっぷり。 それから、床の上の料理に顔をしっかり押し付け。 ぐりぐりぐりぐりぐり。 「テーブルのごはんはいけません」 「ゆあーんゆあーん! ゆあーんゆあーんゆあーん!」 「ゆあーんゆあーん! ゆあーんゆあーんゆあーん!」 れいむとまりさは真っ赤な泣き顔になって、プレイスへ逃げていった。 楽しい……♪ ================================================================ 結局いじめちゃった。 YT
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『ありすの婚活』 D.O 「おにーさん!ありす、このまりさとけっこんするわ!」 「まりさはありすと、ずっとゆっくりするのぜ!」 今日は日当たりもよく、程よい気温で何とも心地いい。 そんなわけで、庭で縁側に座りボーっとしてたら、 薄汚いありすが、さらに汚らしい野良まりさを連れてやってきた。 何やら結婚報告をしているらしいが、 ありすの頭上の茎には、すでに3匹の赤ゆっくりが実っている。 ・・・できちゃった婚じゃねえか。 「で?」 「だから、まりさもかいゆっくりにしてくれなのぜ!」 「ゆっくりおねがいするわ!」 ・・・・・・。 「なんで?」 「だ、だって、ありすのだーりんなのよ?」 「ま、まりさ、とってもゆっくりしてるのぜ?ありすのだーりんなのぜ?」 「いや、だって・・・ありす。お前、俺ん家の庭に、勝手に住み着いただけだろ。」 ・・・・・・。 「そんなのきいてないのぜぇぇええ!?」 「こ、これは、いなかもののじょうだんよぉ!?おにーさん、へんなこといわないでね!?」 「お前みたいに薄汚くて、おまけにバッジもついてない飼いゆっくりが居てたまるか。」 俺からすれば当たり前の事実に対して、茫然とした表情を2匹は見せていたが、 野良まりさの方が多少早く立ち直り、野良ありすに向かってすごい剣幕で怒鳴りつけ始めた。 「・・・うそついたのぜぇええ!!ありすがかいゆっくりだっていうから、まりさはすっきりーしてやったのぜぇ!? まりさのこの、いたたまれないきもち、いったいどうしてくれるのぜぇえええ!!」 「まりさぁぁあ!これはなにかのまちがいなのぉぉおお!!」 「うるさいのぜっ!!もうありすなんて、はにーでもなんでもないのぜ!! ここでひとりで、ゆっくりしてればいいのぜ!!」 「ま、まって、まりさぁぁああああ!!」 野良まりさは、そのまま踵を返し(?)庭からゆっくりらしからぬスピードで走り去っていった。 なんだかんだ言っても、人間と関わる危険くらいは理解していたのだろう。 「まりさ、まりさぁぁ・・・」 そして、捨てられた方の野良ありすはメソメソ泣いていた。 このままほっといてもウザったいので声をかけてやる。 「お前、これで7度目だろ。いいかげん懲りろ。スルメ食うか?」 「おにーさぁん・・・ばたぴーさんがいいわぁ。」 バタピーを2、3粒食べている内に、ありすも多少は落ち着いてきたようだ。 「むーしゃむーしゃ・・・。ありす、『おとこうん』がないのかしら」 「馬鹿にはクズしか寄ってこねえんだよ。」 「むほぉ・・・」 理解したのかしないのかはわからないが(多分何もわかっていないが)、 食事を終えたありすは、心の隙間を埋めるためなのか、 縁側から投げ出していた俺の脚にすり寄ってくる。 「すーりすーり」 「汚ねぇ、べとべとする!すっきりーしてそのまんまのクセに触りやがって! ・・・洗ってやるからタライに水張っとけ。」 「ゆっくりりかいしたわぁ。」 ありすが足洗い場のタライに水を張ってる間に、 洗面所からゆっくり石鹸を取ってきた。 じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ・・・ 「いつものことだか、そのガキ共どうする気だ。」 「・・・おちびちゃんにつみはないもの。ちゃんとうんで、そだてるわ。」 「馬鹿なクセに?」 「むほぉぉおお!?ありすはばかじゃないわ!とかいはなのよぉぉおお!!」 「・・・・・・(意味変わんねえじゃねえか)」 まあいい。 こいつはゆっくり平均と比べても頭がかわいそうなヤツなので、1と複数の区別しかつかない。 パッと見では子供の種類もわからない今日の夜のうちに、黒帽子の方は間引いておくか。 「ふぅむ。・・・ガキの引き取り先もまた探さんとなぁ。」 せめてもの救いは、ありすのガキ共は揃いもそろって馬鹿な上にレイパー気質も無いくせして、 素直で扱いやすいと、引き取ってもらった同僚達に評判がいいことくらいか。 「ゆぅん・・・ありすは『ふこうなおんな』ね。いつか、『うんめいのであい』がおとづれるのかしら。」 「そんな日は一生来ねえよ。不幸なガキが増えるだけだ。止めとけ。」 「・・・むほぉ。」 ホント、野良にここまでしてやるなんて面倒見のいい人間、珍しいぞ・・・まったく。 餡小話掲載作品 その他(舞台設定のみ共有) ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 854 ごく普通のゆっくりショップ ふたば系ゆっくりいじめ 873 ゆっくり向けの節分 ふたば系ゆっくりいじめ 924 みんな大好きゆレンタイン ふたば系ゆっくりいじめ 934 暇つぶし ふたば系ゆっくりいじめ 943 軽いイタズラ ふたば系ゆっくりいじめ 1016 お誕生日おめでとう! ふたば系ゆっくりいじめ 1028 ゆっくり工作セット ふたば系ゆっくりいじめ 1148 愛でたいお姉さん 本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ 前日談 ふたば系ゆっくりいじめ 522 とてもゆっくりしたおうち ふたば系ゆっくりいじめ 628 ゆきのなか ふたば系ゆっくりいじめ 753 原点に戻ってみる ふたば系ゆっくりいじめ 762 秋の実り ふたば系ゆっくりいじめ 1104 森から群れが消えた日(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 1105 森から群れが消えた日(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 1134 いつもの風景 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけはそうでもない) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道(おまけ) 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 734 未成ゆん(おまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 678 飼われいむはおちびちゃんが欲しい(おまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけ) 夏-1-6. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけ) 夏-1-7. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 冬-1. ふたば系ゆっくりいじめ 490 ゆっくりしたハロウィンさん 冬-2. ふたば系ゆっくりいじめ 910 寒い日もゆっくりしようね 『町れいむ一家の四季』シリーズ 後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 376 飼いゆっくりれいむ ふたば系ゆっくりいじめ 409 町ゆっくりの食料事情 ふたば系ゆっくりいじめ 436 苦悩に満ちたゆん生 ふたば系ゆっくりいじめ 662 野良ゆっくりがやってきた ふたば系ゆっくりいじめ 807 家出まりさの反省 挿絵:嘆きあき
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乞食れいむのおうた 作者:白兎 ※虐待成分少なめ。 ※独自設定。 夕焼けがとっても奇麗な、7月のとある日暮れ時。 学生もサラリーマンも、みんなおうちに帰って行きます。 そんな人々が行き交う道ばたで、おうたを歌う1匹のれいむがいました。 「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆ~♪」 ゆっくり特有のリズムを奏でながら、新聞紙の上でおうたを歌うれいむ。 彼女は、この街に住む乞食ゆっくりでした。 乞食ゆっくり。 もしかすると、皆さんは初めてお聞きになったかもしれません。 だって、この街でしか使われていない言葉ですから。 「おにいさん、こじきってなんなのぜ?」 それは、とある銀バッヂまりさの質問から始まりました。 飼い主の横でテレビを見ていたまりさが、お兄さんに、いきなりそんな質問をしたのです。 「ん?どこでそんな言葉覚えたんだ?」 「きょう、おさんぽのとちゅうで、ちいさなにんげんさんたちがいってたのぜ。」 やれやれ、とお兄さんは思いました。 あまり良くない言葉を覚えて欲しくなかったのです。 けれども、これも社会勉強と、まりさにその言葉の意味を教えることにしました。 「んー、なんて言えばいいのかな……。」 お兄さんは、知識の少ないゆっくりに、何とか説明を試みます。 「乞食って言うのはね、街中で物乞いをする人のことだよ。」 「ものごいってなんなのぜ?」 「道ばたで、人にお金をもらったりすること。」 「なんでなのぜ?にんげんさんは、かいしゃからおきゅうりょうをもらうのぜ?」 「そういう人は、仕事が無かったり、自分の家が無かったりするからね。」 まりさは、お兄さんの説明にしばらく体を捻っていましたが、 ふと全ての謎が解けたかのように、ぴんと背筋を伸ばして言いました。 「ゆん!ゆっくりりかいしたのぜ!こじきはのらのにんげんさんなのぜ!」 このまりさ、お兄さんの説明を少し勘違いしてしまったようです。 けれども、お兄さんも面倒くさかったので、あえて訂正はしませんでした。 翌日、銀まりさは、お友達のゆっくりに、この話を伝えました。 みんな、近くの家で飼われている高級なゆっくりばかりです。 「むきゅ。ぱちゅも、えきまえでみたことあるのだわ。」 「のらのにんげんさんだねー。わかるよー。」 「それじゃあ、のらのゆっくりも、こじきなのかしら?」 「きっとそうだみょん!」 野良の人間が乞食なら、野良のゆっくりも乞食だろう。 彼らは、そう結論付けました。 そして、街中で野良を見かける度に、彼らを乞食と呼ぶようになったのです。 「あんなところにこじきがいるのぜ!きたないのぜ!」 「こじきはとかいはじゃないわ!ありすのそばにこないでね!」 この2匹、別にゲスではありません。 ペットショップで、店員さんから、野良は汚くてゆっくりできないと教えられ、 それを忠実に守っているだけなのです。 けれども、この呼び名を広めたのは、当の飼いゆっくりたちではありませんでした。 それを横で聞いていた、地元の小学生です。 小学生というものは、相手を馬鹿にする言葉が大好きなのです。 あっと言う間に、地元の小学校でこの呼び名が広まりました。 そして、今度は、小学生の言葉遣いが、他の飼いゆっくりに影響を与えます。 「おーい、こっちに乞食がいるぜ!」 「ゆゆ!こじきがいるよ!」 「おおこじきこじき。」 こうして、分別のある大人を除き、みんなが野良ゆっくりを乞食と呼ぶようになりました。 野良ゆっくりたちは、それが悪口だと分かると、とても怒りました。 「れいむはこじきじゃないよ!れいむはれいむだよ!」 「まりさはりっぱなのらゆっくりだよ!こじきじゃないよ!」 ですが、毎日のように乞食乞食と言われ続けると、 なんだか本当に乞食のような気がしてしまうものです。 1年も経った頃には、野良ゆっくりも、自分たちのことを乞食と呼ぶようになりました。 ですから、この街では、野良ゆっくりはみんな、乞食ゆっくりと呼ばれているのです。 ところで、名は体を表す、という諺があります。 乞食ゆっくりたちは、だんだん本物の乞食と一緒の生活をするようになりました。 街中で、物乞いをするようになったのです。 もちろん、ただ座っているだけでは、何も貰えません。 だから、乞食ゆっくりたちは、芸を披露することにしました。 あるものはダンスを踊り、あるものはおうたを歌います。 こうして、乞食ゆっくりたちは、街中の風景にすっかり溶け込んでしまいました。 「ゆゆ~♪ゆ~ゆ~♪ゆ~♪」 このれいむも、昔は街の近くにある小さな森で暮らしていましたが、 土地開発で巣を追われ、こうして乞食になったのです。 都会での生活に慣れていないれいむには、苦労苦労の連続でしたが、 仲間の手助けにより、ここまでやってこれました。 「ゆ~♪ゆ~♪ゆゆ~♪」 「こじきのれいみゅにおきゃねをめぐんでくだちゃい!」 おうたを歌うれいむの横で、通行人に笑顔を振りまいているのは、 森を追われるときに助けた妹れいむです。 両親と他の姉妹は、おうちを潰そうとする巨大なすぃーに立ち向かい、 そして、ぺっちゃんこにされてしまいました。 「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆ~♪」 「おねがいしましゅ!こじきのれいみゅににゃにかめぐんでくだちゃい!」 森にいた頃は、うたひめと呼ばれ、みんながれいむのおうたを褒めてくれました。 でも、この街では、誰もれいむのおうたなど聴いてくれません。 みんな、顔色ひとつ変えずに、れいむたちの前を通り過ぎて行くだけです。 だけど、おうたを歌う以外に何もできないれいむは、おうたを歌い続けるしかありません。 「ゆゆ~ん♪ゆ~ゆゆ~♪」 おうたを歌っているとき、れいむはいつも、森での暮らしを思い浮かべます。 とっても優しいお父さんとお母さん、可愛らしい妹たち、 そして、みんなと遊んだゆっくりプレイス。 れいむは、ゆっくりとした記憶に浸りながら、今日もおうたを歌うのです。 ふと、道の向こうから、不機嫌そうなサラリーマンが歩いて来ます。 男は、今日、上司にこっぴどく怒られて、内心むしゃくしゃしていました。 「けっ、部長の指示が悪いんだろうが……。なんで俺のせいになるんだよ……。」 男が新聞紙の前を通りかかったところで、妹れいむが声を上げました。 「おじしゃん!こじきのれいみゅににゃにかめぐんでくだちゃい!おねがいしましゅ!」 男は、2匹にちらっと目をやると、あからさまに舌打ちをします。 「……なんだ、ゆっくりか。うっせーな。」 男は、ほんの一瞬、れいむの顔に目をやりました。 森の暮らしを思い出して歌うれいむの表情は、幸せそのものです。 男は、そのまま通り過ぎようとしましたが、何を思ったのか、 ポケットに手を入れると、きらきら光るものを、空き缶に投げ入れました。 チャリーン 金属のぶつかる音がします。 「ありがとうございます。」 れいむは、おうたを中断し、もみあげで三つ指をついて、頭を下げました。 「ありがちょうごじゃいましゅ!」 妹れいむは、ぴょんぴょん跳ねて、サラリーマンにお礼のダンスを披露します。 サラリーマンは、そんな2匹を無視すると、先を急ぎました。 れいむは、男が見えなくなったところで、ようやく顔を上げます。 「きょうはおかねもらえたね。くらいからもうおうちにかえろうね。」 「ゆっくち~♪」 れいむは、空き缶の中に入っている金属片を、もみあげでゆっくり取り出します。 いったいいくら入っているのでしょうか。 「……。」 夕暮れの太陽に赤く光る丸い円盤。 それは、お金ではありませんでした。 ただのビール瓶の蓋でした。 男は、嫌がらせをするために、わざとそれを入れたのです。 「ごめんね……。これおかねじゃないよ……。ごめんね……。」 「ゆぅ……。」 れいむは、白玉の目からすっと涙を流し、妹に何度も何度も謝ります。 やっと貰えたと思ったお金。 これなら、何も貰えない方が、どれほど良かったことでしょう。 「おにぇしゃんなかにゃいでにぇ。れいみゅゆっきゅりがまんしゅりゅよ。」 心配した妹が、れいむの頬にすーりすーりして来ます。 「おにぇしゃんしゅーりしゅーり。なきゃないでにぇ。」 そんな健気な妹を見ると、れいむも泣いてはいられません。 笑顔を取戻し、元気よく妹にすーりすーりし返してあげます。 「さあゆっくりおうちにかえろうね!」 「ゆっくち~♪」 れいむたちは、もみあげともみあげをしっかりと繋ぎ合わせ、 夕闇に包まれた始めた大通りを、ゆっくりと去って行きました。 「ゆゆん!このあんぱんさんはさんえんだよ!とってもやすいよ!」 「ちぇんかうよー!きょうはごえんだまもらったよー!」 「まりさもあまあまさんいっぱいあつめたよ!ゆっくりかいものしていってね!」 「ちーんぽ!」 ここは乞食谷。 乞食ゆっくりたちが集う、街の下宿所です。 もちろん、町中に谷などありません。 誰も住んでいないビルに囲まれた空き地が、谷底に似ているので、そう呼ばれているだけです。 乞食たちは、この谷の真ん中にあるドラム缶の前で、毎晩市場を開きます。 食べ物や段ボールなど、生活に必要なものを集めたゆっくりが、 人間からお金をもらったゆっくりに、それを売っているのです。 今日も市場は大盛況。 ゆっくりたちの賑やかな声が、あちこちから聞こえてきます。 「ゆぅ……。あんぱんしゃん……。」 そんな市場を遠くから眺めているのは、さきほどのれいむ姉妹です。 お金も物ももらえなかった2匹は、何にも交換するものがありません。 ただただ、他のゆっくりたちの買い物を見ている以外、することがないのです。 「れいみゅもあんぱんしゃんたべちゃいよ……。」 妹れいむが、物欲しそうに涎を垂らしながら、ちぇんの買った餡パンを見つめています。 「ごめんね。あしたはおかねをもらってあんぱんさんたべようね。」 「ゆぅ……。」 そんな会話をしていると、ふと市場の方から、1匹のゆっくりが跳ねて来ます。 それは、よく見知った帽子の子、ゆっくりまりさでした。 「ゆっくりしていってね!」 まりさは、笑顔でれいむに挨拶します。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 れいむとその妹も、先程までの空腹を忘れて、元気よく挨拶を返します。 れいむは、このまりさと大の仲良しでした。 この乞食谷に案内してくれたのも、街中でたまたま出会ったこのまりさだったのです。 まりさは、人間にもそうと分かるくらいの美ゆっくりでしたが、野良は野良。 お帽子にはあちこちに穴が空き、お肌も都会の空気ですっかり汚れてしまっています。 そんなまりさは、とびっきりの笑顔で、れいむに話しかけます。 「きょうもいっぱいおかねもらえたよ!」 嘘ではありません。 このまりさは、1日になんと15円も稼ぐのです。 普通は5円も集まれば御の字なのですから、どれほど凄いかが分かります。 それもそのはず、このまりさは、芸の名人でした。 ぴょんと30センチも飛び跳ねてトンボ返りをしたり、 口に棒をくわえて、コーンの間に張った綱を渡ったりできるのです。 だから、人間さんたちの間でも、まりさはとっても有名でした。 「れいむはおかいものしないの?」 まりさは、れいむにそっと尋ねました。 れいむは何も答えませんでしたが、まりさには分かっています。 だって、れいむがお買い物をすることなど、滅多にないのですから。 れいむは、それくらい物乞いが下手なのです。 けれども、嫌みで尋ねたわけではありません。 まりさは、いつもこうやって、れいむにプレゼントする機会を作っているのです。 「れいむにこれあげるよ!」 まりさは、帽子の中から、野菜屑を取り出して、れいむに差し出します。 それは、八百屋さんの前で芸を披露したときに、店のおじさんから貰ったものでした。 このおじさん、普段はじゃがいもの皮しかくれないのですが、 その日はまりさの宙返りがあまりにも見事だったので、キャベツの葉っぱをくれました。 「ゆゆん!まりさありがとう!」 れいむは、うれし涙を流しながら、キャベツの葉っぱを受け取ります。 それを見た妹のれいむは、今にも端っこに噛み付いてしまいそうでしたが、 お姉さんのお腹がぐーぐー鳴っていることを、ちゃんと知っています。 だから、溢れそうになる唾を飲み込み、お行儀よく我慢することができました。 「こまったときはおたがいさまだよ!」 困ったときはお互い様。 まりさは、いつもそう言ってくれます。 だけど実際には、れいむが貰う一方で、お返ししたことなど一度もありません。 本当はお返ししたいと思っていても、あげるものが何もないのです。 れいむがまりさにしてあげられることは、ひとつだけ。 そして、まりさも、そのたったひとつのことを、いつもお願いして来ます。 「ねえ!まりさにおうたをきかせてよ!」 「いいよ!ゆっくりきいていってね!」 れいむは、まりさの前で、ゆっくりとおうたを歌い始めます。 「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆゆ~♪」 まりさは、本当にゆっくりとした表情で、れいむのおうたを静かに聴きます。 「れいむのおうたはほんとにゆっくりしてるね!」 「ゆゆ!ありがとう!」 まりさは、お世辞を言ったのではありません。 れいむのおうたは、ゆっくりにとって、本当にゆっくりしたおうたなのです。 だけど、そのおうたを聴いてくれるのは、街中でも、このまりさしかいません。 その理由は簡単でした。 みんな生きることに必死で、おうたなど聴いている場合ではないのです。 だから、このまりさがおうたに耳を澄ますのは、彼女が恵まれていることの証なのです。 「おとうしゃんだけじゅるいよ!まりちゃもなきゃまにいれちぇにぇ!」 れいむとまりさの間に割って入ったのは、小さな体をのーびのーびさせた子まりさでした。 まりさをお父さんと呼んでいますが、2匹の間に餡子は繋がっていません。 子まりさの母親が車に轢かれ、側で泣いていたところを、まりさが拾ってあげたのです。 最初は母親が死んだショックで、まりさにはあまり懐いてくれませんでしたが、 いつからか、子まりさは、まりさをお父さんと呼ぶようになっていました。 「まりちゃだけにゃかまはじゅれにゃんてぴゅんぴゅんだよ!」 「ごめんね。でも、おちびちゃんがすーやすーやしてたから、おこさなかったんだよ。」 子まりさも、本気で怒っているわけではありません。 その証拠に、子まりさは、まりさの頬に擦り寄ると、すぐに笑顔に戻ります。 「れいみゅおねーしゃん。まりちゃにもおうちゃをきかちぇてにぇ。」 「ゆふふ。いいよ。もういっかいうたおうね。」 れいむは、そんなまりさたちのやりとりに、思わず顔が綻んでしまいます。 「れいみゅもおうちゃうちゃえるよ。」 子れいむが、もみあげさんをぴこぴこさせながら、可愛い声をあげました。 彼女も、お姉さんにおうたを教えてもらっているのです。 「それじゃあ、ふたりでうたおうね!」 「「ゆゆゆ~♪」」 その夜、乞食谷に、姉妹の楽しそうな歌声が、いつまでも響き渡りました。 次の日のこと。 物乞いから帰ったれいむのおうちへ、例のまりさが息を弾ませてやって来ます。 いったい何だろうと思っていると、まりさは次のように言いました。 「まりさ、てれびにでるよ!おかねもいっぱいもらえるよ!」 これでは、いったい何のことだか分かりません。 れいむはまりさを落ち着かせ、詳しく話してくれるように頼みました。 まりさの話はこうでした。 今日、いつもの繁華街で曲芸をしていると、いきなり男の人が話しかけてきたのです。 そして、男の人は、こう言いました。 テレビに出てみないかい、と。 彼は、某テレビ局のディレクターさんでした。 ディレクターさんの話によると、来月、街中の変わったゆっくりを紹介する番組があり、 ぜひまりさにも出演して欲しいと言うのでした。 「出演料として、500円出すよ。」 500円! まりさはびっくりしました。 だって、まりさの一ヶ月分の稼ぎが、1日で手に入るのですから。 まりさは、喜んでテレビ出演を快諾しました。 ディレクターさんは、日曜日にまた来ると言って、その場を去りました。 「もし500えんもらったら、れいむにすてきなぷれぜんとをするよ!」 500円もあれば、大きな板チョコが何枚も買えます。 まりさは口にしませんでしたが、その板チョコをれいむにプレゼントし、 そして愛の告白をするつもりだったのです。 「まりさすごいね!れいむゆっくりおうえんするよ!」 「うん!まりさもゆっくりがんばるよ!」 その日、まりさは、前祝いとして、とっておきの5円チョコを4匹で分け合いました。 上手く割れなかったので、れいむは子れいむに、まりさは子まりさに、 それぞれ大きな欠片を渡します。 「「「「む~しゃむ~しゃ♪しあわせ~♪」」」」 その夜、乞食谷に、4匹の幸せな声が、いつまでも響き渡りました。 日曜日、ついにまりさのテレビ出演の日がやって来ました。 もちろん、今日は単なる収録日で、放送は後日なのですが、 ゆっくりであるまりさたちには、そんなことは分かりません。 それに、どうせテレビを見ることなどできないのですから、 テレビに出られるかどうかなんて、本当はどうでもよかったのかもしれません。 「おにいさん!きょうはまりさのすごいわざいっぱいみせてあげるね!」 まりさが、少しばかり声を震わせて言いました。 さすがに緊張しているのでしょう。 早速、得意のバク転を決めようと身構えたところで、ディレクターさんが止めに入ります。 「あ、悪いけど、君がやることは、こっちで決めてあるんだ。」 ディレクターさんは、そう言うと、奇麗な青空を指差しました。 まりさもれいむも、そして同伴した子ゆっくりたちも、不思議そうに空を見上げます。 「あそこに綱が見えるだろう。あれを渡ってくれ。」 最初は気付きませんでしたが、ビルとビルの間に、一本の太いロープが張られていました。 それは、建物の5階から伸びていて、長さも10mはあるでしょうか。 まりさは、言葉が出せません。 だって、こんなことをやるとは、聞いていなかったのですから。 「ゆゆ。これはたかすぎるよ。それにひもさんもながすぎるよ。」 「なに、やらないの?やらないなら、他のゆっくりに頼むけど?」 ディレクターさんは、まりさを睨みつけました。 「でも……あぶないよ……。」 「危ないからこそ、視聴者も喜ぶんだろう。普通の芸で500円貰おうなんて甘いね。」 まりさは迷います。 いくらゆっくりでも、この高さから落ちれば死ぬことくらいは理解できました。 以前、お友達のまりさが、誤って歩道橋から落ちてしまい、 地面でぺちゃんこになったのを、まりさは見たことがあるからです。 まりさは、困ったように視線を落とした後、今度はれいむの方を見ました。 まりさの目には、不安と同時に、何かを諦めきれない気持ちが、入り交じっていました。 れいむは、何も言うことができません。 これは、まりさの舞台なのです。 決めるのは、まりさであって、れいむではないのです。 しばらく悩んだ末、意を決したように顔を上げると、まりさはこう言いました。 「ゆん!まりさやるよ!」 「だめだよまりさ!こんなのゆっくりできないよ!」 大声を上げたのは、れいむでした。 そんな危険なことをして欲しくない。 ただその一心から出た声でした。 「あーん?なんだこのれいむは?」 ディレクターさんが、れいむの方へ近付いてきます。 すると、まりさが、慌ててディレクターさんの前に立ちはだかりました。 「れいむはまりさのおともだちだよ!いじめないでね!いじめたらまりさやめるよ!」 ディレクターさんは、少し不機嫌そうでしたが、黙ってスタッフに合図を送ります。 カメラが用意され、撮影が始まりました。 まりさは、若い男のスタッフに持ち上げられ、ビルの中に消えて行きます。 「ゆ~ん♪おそらをとんでるみたい♪」 そんな暢気な声が、半開きの自働ドアから聞こえてきました。 まりさが棒をくわえ、ロープの前に立ったとき、彼女はびっくりしてしまいました。 下から見上げたときよりも、ずっとずっと高く感じられたからです。 さすがのまりさも、あんよが震えてしまいます。 「よーし!じゃあ始めてくれ!」 遠くから、ディレクターさんの掛け声が聞こえました。 「おとうしゃん!がんばっちぇにぇ!」 「まりしゃおじしゃんがんびゃりぇー!」 地上で無邪気にまりさを応援しているのは、子まりさと子れいむの2匹です。 彼らは体をのーびのーびさせながら、一生懸命に声を張り上げます。 その横にいるれいむは、もみあげを合わせ、不安そうにまりさを見つめているだけ。 まりさのことが心配で心配で、舌が動かないのです。 そんなれいむの顔を見ていると、何としてでも渡り切ってやろうという気持ちが、 まりさの餡子の中に、むらむらと湧いてきました。 「これがめいじんまりさのつなわたりだよ!みんなみててね!」 まりさは、棒を上下の歯でしっかりと挟み、ぐっと表情を引き締めると、 まるっこいあんよを、ロープの端に乗せました。 めまいがしそうな高さです。下を見てはいけません。 「……。」 ゆっくりと、本当にゆっくりと、まりさはロープを渡って行きます。 人間さんたちは、最初から応援も何もしていませんでしたが、 今や子ゆっくりたちも、黙ってまりさの勇姿を見守るしかありません。 芸の最中に声を上げると気が散ることは、彼らも知っていたからです。 どれほどの時間が過ぎたでしょうか。 1時間とも2時間とも感じられるような緊張の連続が過ぎ去り、 気付けば、まりさはロープの半分を渡り切っていました。 さすがの人間さんたちも、これには驚きを隠せません。 あと半分。 この調子であと半分を渡り切れば、500円玉が手に入る。 そして、れいむに愛の告白をすることができる。 まりさの餡子を支配していた恐怖が、だんだんと希望に取って代わられます。 と、そのときでした。 ビューーーッ 「!」 強烈なビル風が、道ばたにいる人々を襲います。 まりさは、歯を食いしばり、ロープの上でバランスを取ろうと必死に踏ん張りました。 普通のゆっくりならば、すぐに吹き飛ばしてしまったであろうこの強風も、 まりさの素晴らしいバランス感覚の前では、柳に風です。 そう、まりさの前では。 「おぼっ!?」 まりさは、全身を器用にくねらせ、ロープの上で絶妙なバランスを取っていました。 しかし、まりさが動かせるのは、まるっこい饅頭の体だけなのです。 だから、辛抱を切らした風は、まりさではなく、 まりさの大事なお帽子を攫って行くことに決めました。 まりさは、外れかけたお帽子を放すまいと身を捩りますが、全く意味がありません。 お帽子は飾りであり、体の一部ではないのです。 ついに、風が、お帽子のツバに、見えない指を掛けました。 「まりさ!だめだよ!」 れいむの声は、遅過ぎました。 まりさは、お帽子に対する愛着から、うっかり後を追おうとしてしまったのです。 当然、バランスを失い、そのまま地面へ真っ逆さま。 ぐちゃ、という音と一緒に、永遠にゆっくりしてしまいました。 一瞬の出来事だったので、れいむたちには、何が起きたのか分かりません。 「よーし、いい絵が取れたぞ。」 「ディレクター、テロップはどうしますか?」 「薬中まりさ、白昼の錯乱綱渡り。バカとゆっくりは高いところがお好き。」 「お、いいですねえ。高視聴率間違いなしですよ。」 ディレクターさんは、嘘を吐いたのではありません。 ゆっくりの番組が放送されるというのは、本当です。 成功すれば500円玉をあげるつもりだったのも、本当です。 ただ、ディレクターさんは、ひとつだけ言わなかったことがあるのです。 番組のタイトルが、『爆笑☆街中のおかしなゆっくりたち』だということを。 「じゃ、それっぽく見えるように、適当に編集しといてね。」 ディレクターさんがその場を去ると、他の人間さんたちも、道具の片付けを始めました。 がちゃがちゃという音に、れいむは、ようやく意識を取戻します。 そうだ、ここには人間さんたちがいる。 人間さんは、どんな病気でも治すことができる。 れいむは、昔、死んだ長のぱちゅりーに、そう教えられたのを思い出しました。 「にんげんさん!おねがいだよ!まりさをたすけてあげてね!おねがいだよ!」 しかし、人間さんたちは、誰も助けてはくれません。 れいむは、側にいた女の人のところへぴょんぴょん跳ねると、また大声で言いました。 「おねえさん!まりさはまだいきてるんだよ!だからゆっくりたすけてあげてね!」 女の人は、五月蝿そうにれいむを避けると、道具を持ってどこかへ行ってしまいました。 れいむは向きを変え、少し離れたところにいる男の人に、跳ねながら話しかけます。 「おにいさん!まりさをびょういんにつれていってあげてね!おねがいだよ!」 れいむがさらに近付こうとすると、男の人の踵が、れいむの顔に当たりました。 体の中からメキッという音が聞こえ、れいむは後ろに転がってしまいます。 起き上がってみると、口の中が何やら変な感じです。 そうです。前歯が折れてしまったのです。 男の人も、それに気付きました。 「あーあ、足下でうろちょろするから。どっか行けよ。」 「まりひゃをびょういんにひゅれてってあげてね!おねがいだよ!」 れいむは、歯の折れた痛みなど忘れて、もう一度男の人に頼みます。 「あのさ、生きてるわけないっしょ。少しは現実見ろよ。」 「まりひゃはいきてるよ!だからたひゅけてあげてね!おねがいだよ!」 男の人は、やれやれと首を横に振り、その場を離れて行きました。 誰も助けてくれないことが分かったので、れいむは涙を流しながら、 まりさのところへ駆け寄ります。 「おとうしゃん!おめめあけちぇえええ!」 「まりしゃおじしゃんげんきになっちぇね……。ぺーろぺーろ……。」 まりさの側で、子れいむと子まりさが、しくしくと泣いています。 「まりひゃ!れいむといっひょにおいひゃひゃんにいこうね!」 れいむはそのとき、初めてまりさの顔を見てしまいました。 白玉の目玉が飛び出し、そこから餡子がたくさん漏れています。 それに口の形もいびつで、だらしなく舌が垂れていました。 街中でも指折りの美ゆっくりだったまりさの面影は、もはやどこにもありません。 「まりひゃ!きっとよくなるよ!だからおいひゃひゃんへいこうね!」 まりさは、返事をしてくれません。 それから何度かまりさの名前を呼んだ後、れいむは、 ようやくまりさが死んだのだと分かりました。 「まりびゃあああ!!!まりびゃああああああ!!!」 れいむも、わんわんと泣きました。 こんなことなら、まりさを止めれば良かった。 そう思っても、全ては後の祭りです。 そして、れいむにはもうひとつ、とっても後悔したことがありました。 彼女は聞いてしまったのです。 まりさが最後に叫んだ言葉を。 れいむあいしてるよ、と。 「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆひゅ~♪」 夕焼けがとっても奇麗な、7月のとある日暮れ時。 学生もサラリーマンも、みんなおうちに帰って行きます。 そんな人々が行き交う道ばたで、おうたを歌う1匹のれいむがいました。 そうです。あの乞食れいむです。 れいむはあれからも、同じ場所で、同じおうたを歌い続けています。 「こじきのまりしゃにおきゃねをめぐんでくだちゃい!おにぇがいしましゅ!」 「こじきのれいみゅはおうたがとってもじょうずなんでしゅ!きいてくだちゃい!」 だけど、歯が折れてしまったれいむは、もう今までのようにおうたが歌えません。 以前は顔色ひとつ変えずに避けていた人たちも、今や我慢ができないといった様子で、 れいむたちを睨みつけ、罵声を浴びせます。 「くっせぇ饅頭がこんなところで歌ってんじゃねーぞ!」 「きもー。あのれいむ歯がないじゃん。」 「ゆひゅ~♪ゆひひゅ~♪」 溢れそうになる涙を堪えながら、れいむはおうたを歌います。 もう、おうたを歌っても、昔の楽しかった思い出は、餡子の中に浮かんできません。 だかられいむは、何も考えず、生きるためにおうたを歌うのです。 ふと、道の向こうから、不機嫌そうなサラリーマンが歩いて来ます。 男は、今日、上司にこっぴどく怒られて、内心むしゃくしゃしていました。 「けっ、ありゃ新入りのヘマだろうが……。なんで俺のせいになるんだよ……。」 男が新聞紙の前を通りかかったところで、妹れいむが声を上げました。 「おじしゃん!こじきのれいみゅになにかめぐんでくだちゃい!おねがいしましゅ!」 男は、3匹にちらっと目をやると、あからさまに舌打ちをします。 「……なんだ、ゆっくりか。うっせーな。」 そのまま通り過ぎようとしたとき、男は、ふと足を止めました。 この光景、どこかで見たことがある。そうだ、あのれいむだ。 ずっと前に、ビール瓶の蓋で、このれいむをからかったことを、男は覚えていました。 男は、しばらくの間、じっとれいむの顔を見つめていました。 れいむの方は目を瞑り、真剣におうたを歌っています。 前歯の隙間から空気が漏れ、ひゅーひゅーと間の抜けた音が聞こえても、 れいむは真剣におうたを歌っているのです。 チャリーン 缶の底で、金属のぶつかる音がします。 「ありがとうごびゃいまひゅ。」 「「ありがとうございましゅ!」」 れいむと2匹の子ゆっくりは、もみあげとおさげで三つ指をつき、深々と頭を下げます。 サラリーマンは、お礼を言う3匹を無視して、先を急ぎました。 れいむは、男が見えなくなると、ようやく体を持ち上げます。 「ひょうはおかねもらえひゃね。くらいからもうおうひにひゃえろうね。」 「「ゆっくち~♪」」 れいむは、空き缶の中に入っている金属片を、もみあげでゆっくり取り出します。 いったいいくら入っているのでしょうか。 「……。」 夕暮れの太陽に赤く光る丸い円盤。 それは、1円玉でした。 「ゆわ~♪いひえんだまひゃんだよ♪」 れいむの顔がぱっと明るくなります。 「いちえんだましゃんゆっくりしていっちぇね!」 妹れいむも目を輝かせ、1円玉さんにすーりすーりしようと体を伸ばします。 「おじしゃんありがちょね!」 子まりさは、もう姿の見えない男の方角に向かい、何度も何度もお礼を言いました。 「ゆっくりおうひにかえってくひゃひゃんをむーひゃむーひゃひようね!」 「「ゆっくち~♪」」 れいむは、右のもみあげで子れいむを、左のもみあげで子まりさを抱き寄せると、 夕闇に包まれた始めた大通りを、ゆっくりと去って行きました。 そんなれいむの唇には、生まれて初めて恵んでもらった1円玉が、 何か大事なものと交換されたかのように、赤く赤く、輝いているのでした。 終わり これまでに書いた作品 ダスキユのある風景(前編) ダスキユのある風景(中編) ダスキユのある風景(後編) 英雄の条件 ふわふわと壊れゆく家族 ♂れいむを探して
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『うんうんの汲み取り屋さん』 9KB 観察 小ネタ 追放 群れ 自然界 うんしー 作品には作品でレスしようと思いました 【うんうんれいむのはじめのしょうげん】 ゆっ、れいむはれいむだよ。れいむはまりさのように狩りもうまくないし、ありすのようにテーブルや おさらはつくれないし、鳥の巣ベッドやかごさんなんて器用にあみ上げられないよ。 ぱちゅりーのようにものしりでむれを治めるちえもないよ。 みょんのように剣のうでまえをつかってじけいだんをくんで外からのてきをおいはらったり、むれのなかの もめごとにわって入ったりできないよ。 ちぇんのようにあんよも早くないし、ひきゃくのおしごともできないよ。 れいむはおうたがじょうずだよ、ってみんな言ってくれるけどおうたなんてみんな歌えるものだって れいむは知ってるよ。ほかのれいむたちはれいむはみんなこそだてじょうずで母性にあふれたいいお母さんに なるよっていうけど、だれだってお母さんにはなれるし、みんな自分のおちびちゃんをじょうずに 育てているよ。 だから、れいむにはみんなよりとくいなことなんてなーんにもないんだよ。 けっかいっ!だって、みんなごきんじょのれいむたちのやるのをみようみまねでそれなりーのものを じぶんでつくってるしね。 お母さんれいむはいつもいってたよ「れいみゅ、他ゆんのいやがることをすすんでやるいい子に育ってね、 でないと、むれのみんなに会わすおかおがないよ、お母さんとのやくそくだよ、ぜったいだよ」 そんなお母さんは他ゆんのいやがることをすすんでやり続けて、いつのまにかむれのみんなからいやなやつ、 でいぶとよばれて石をぶつけられるようにいやがられる立派なでいぶにくらす・ちぇんじしたよ。 そしてあるあさ、むれのはずれでからだじゅうにえださんをぷーすぷーすされた死体ではっけんされたよ。 れいむはそれからひとりぼっちで くらしてきたんじゃよ。ゆえぇーん。 【ひきゃく屋のさがわちぇんのしょうげん】 ちぇんはちぇんだよー、わかってねー。ちぇんは群れと群れとのあいだでおとどけものがあると、バイトで ひとっぱしりしてどんぐりや木の実をお代にもらってこつこつためてるよ。いつからんしゃまにであった ときのためのけっこん資金なんだねー、わかるよー。ふだんはちぇんのぞくする群れで狩りにはげんでるよー。 ちぇんは山の向こうのありす村からこの群れにおとどけもののおしごとでこの群れにたちよったよ。 ちぇんは持ってきたおべんとうさんも食べちゃっておなかぺーこぺーこだったよ。よるもふけて、れみりゃの よるだったから、ひとばんのおやどを探したんだねー。みんなゆっくりしてなかったよー、わからないよー。 いっけんだけ戸をあけてくれたゆっくりがいたんだよー、それがあのれいむなんだねー。 やまごしにとびはねて疲れていたちぇんのために、とっておきのあまあまさんをごちそうしてくれたんだよー。 とってもゆっくりできたよー、ひとばんとめてもらったおれいをいってちぇんは群れをでたよ。 にゃ? れいむとすっきりーするのが目的でとまってなんかいないんだねー、わかれよー! ちぇんのおあいてはいつか出会うらんしゃまだけにゃんだねー、ゆっくりわかってねー。 かえり際、れいむがありすの村まであんないしてくれないか?っていったんだよー。わかるよー。 ながれもののちぇんをこんなに親切にもてなしてくれたれいむが悪いゆっくりだとはおもえないんだねー、 わからないよー。 【とかいはな ありす村の長ありすのしょうげん】 たった1ぴきのいなかもののために、そちらの都会派な群れの方たちまでいなかもの扱いされると考えたら ぞっとするっ! うんうんれいむには げんっしゅくなしょぶんをお願いするわ、それがそちらの群れのためでもあると思うの。 どこから話せばいいのかしら・・・。ひきゃくのちぇんのあんないを受けておたくの群れのれいむが最初に うちの村に来た、あのいまわしき日から話すのがすじね。 れいむはありすたちにしか作れないそりをひっぱりながら、ゆっちらゆっちらあまあまさんをたくっさん乗せて やってきたわ。それはとてもとかいてきな甘さに思えたわ。 村のみんなもしたつづみをうってれいむをかんげいしたの。そして残りのあまあまさんと村のしなものを こうかんっ!しましょうというふうに商談がまとまったの。 ありす村 とくさんの加工品を山ほどつんでれいむは帰っていったわ。番のまりさがていさつで ついていかなかったら今でもだまされっぱなしかと思うとさむけがするわねっ。 えぇ? れいむのひみつの狩場をみつけて、あまあまさんをよこどりしようなんてそんないなかものなことは 考えてもみなかったわよ、ばかにしないでね? ていさつのまりさがみたのは、れいむが群れの家々をまわって、うんうんをかいしゅうしている所だけで、 どこかからあまあまさんを摘み取っている場面はけっきょくみられなかったということよ。 その報告を聞いて、ありすにはいやーな予感がはしったわ。ひょっとして、ひょっとしてよ、 ありすたちがこのまえむーしゃむーしゃ、しあわせ~したあまあまさんって、・・・ うんうんだったんじゃないのかしら?ってね。 【うんうんれいむのつぎのしょうげん】 れいむにはちぇんへのおもてなしといっても、みんなのいやがるおしごとでえた うんうんさんくらいしか さしだすものがなかったんじゃよ・・・・。 なんにもできないれいむは うんうんさんをあつめるといった他ゆんのいやがるしごとをすることでみんなの 役にたつくらいしか生きているいみがないんじゃね。 でも、なにもしらないちぇんがむーしゃむーしゃしてくれて、し、しあわせ~っていってくれたとき、れいむは ないす・あいでぃあさんをおもいついたんじゃよ。よのなかには好んでうんうんさんを食べるちぇんたちのような HENTAIゆっくりがいるんだね、だったられいむのあつめたうんうんさんをうんうん大好きっ!のやつらに わけてあげれば、おたがいはっぴーさん☆だねって。 よくあさ、さっそくじゅんびをしてそりにうんうんをまんったんにつめこむと、れいむはちぇんにちぇんたちの すむ村へあんないしてくれるようにたのんだよ。 【とかいはな ありす村の長ありすのさいごつうこく】 がいっこうもんだいだわっ。ありす村の住ゆんはうんうん喰らわっしゃい!なんて、ばかにしてるわ。 あなたたちの群れがもしもこんなやばんなことを野放しにみとめるようないなかものの集まりなら、 ありす村にも考えがあるっ。 ぺにてんぐだけでれいぱー化したありすたちがいっせいに群れをほういするわ。そうなったら、もう 長にだってどうにも止められないわよ、んほおおおおぉお! べ、べつにこの群れにあるおやさいさんが勝手に生えてくるゆっくりぷれいすが目当てなんかじゃないわよ? 【うんうんれいむのさいごのしょうげん】 れいむのゆっくりぷれいすはこのむれの中では見つけられなかったよ。きっと べつのむれにうつっても、 れいむが役たたずなのはいっしょじゃよ・・・。 だかられいむは、ぱちぇのむれの中でもありす村の中でもなく、むれとむれとのはざまでしあわせ~を さがしたんじゃよ? そこでもそんざいがゆるされないって・・・・・、 じゃあれいむのゆっくりぷれいすは、いったいどこにあるっていうのぉぉ?! どこにいけばれいむはだれにもめいわくをかけずに生きていけるっていうのぉぉおおお!!! 【長ぱちゅりーのはんだんとしゃざい】 むきゅ、そこまでよ、れいむ。じぶんを悲劇のひろいんに仕立て上げるのは、れいむたちのいつもの手口ね。 このぱちゅりーの目はごまかされないわよ。 ありすにはこころからしゃざいっするわ。おわびに このれいむをうんうんトイレ兼・すっきり~どれいとして 差し出すわ。えさはありすたちのうんうんとしーしーだけで十分よ。 みなしごになってきのどくに思った群れのみんなは余裕があるときはこのれいむにごはんさんのおすそわけを していたのだわ。おかげで親なしとは思えないほどでっぷりと肥えてしまったの。でいぶの子はでいぶというか、 冬ごもりのしたくも始まって群れのみんなからのおすそわけがなくなったれいむは、群れ全体の共同ごはんさん ちょぞう場に忍び込んだわ。幸いみすいに終わったけど、その日かられいむは群れの汲み取り屋さんにさせられて、 うんうん以外のごはんさんが支給されなくなったということなのだわ、むっきゅん。 れいむ、ありす達にうんうんを食べさせた罪の報いであなたは これからありす達のうんうんをずっと食べさせられるという罰を受けるのだわ。 それが群れの掟であり、長の意思だわ。・・・こんなところでよくって? ありす。 なかよくいきましょうね? * ふーっ。俺はノートPCを閉じると煙草の煙を一つ吹いた。俺の仕事はあるゆっくりの群れの管理と人間との調停とを行う コーディネーターの職務である。最近、ゆっくり界での裁判の様子というものに世間でも興味と関心が集まりつつあり、 俺も柄にもなくテープ起こしまでして会話内容を書き出してしまったのだった。 それぞれのゆっくりたち(特にれいむ)のすぐに透けて見えるうすっぺらな嘘の供述が面白くて、つい書き起こして しまったという次第である。いや、嘘と決め付けるのもどうかな。 長ぱちゅりーの最後の言葉が必ずしも真実を射抜いているとも限らず、単に外交上の問題を避けるために純朴(?)な れいむを生贄に差し出したのかもしれない。 それはそれで、最大多数の最大幸福を図る賢明な長のシビアな判断として評価できる。 いずれにせよ真実は藪の中というやつだ。 それにしても、うんうんを媒介にして交易を興そうなどとは、糞饅頭にはいかにもお似合いで実現すればさぞかし 見ものだったと思うのだが・・・。ともあれ、こうしてまたゆっくりは自分から進んで文明の階段を一つ上る契機を みすみす逃した。ある集落と別の集落との間ではモノの価値に差があることを知り、上手く立ち回って二つの価値の差を 掠め取るという、交易とかw。大航海時代や産業革命、資本主義の発展とかの一歩手前だろうによ。 まったく、何度こういう失策を犯せば気が済むのだろう。 あぁ、そうそう、ゆっくりたちのうんうん臭についてコメントしておいたほうが良いな。書き忘れていた。 ゆっくりは目の前でされたうんうんについては臭いを感じるが、どこか目につかない遠くでされたうんうんについては 特に臭いを感じないということらしい。うんうんと認識できた物にたいしては、うんうんは臭いものという 思い込みが働いて勝手に臭さを感じているようだ。多くの文献で報告されている通りである。 またうんうんといっても中身の餡子が劣化しただけの廃棄餡で、食べるのには全く差支えがない。 いい商材を見つけたものだと俺はれいむを評価してやりたいね。 言葉こそ人間のように生意気にも用いるが、火の支配には失敗し、農耕技術の習得を拒んで未だに狩猟状態に 甘んじている。これではいつまでたってもゆん口上昇カーブを劇的な右肩上がりに持っていけないだろう。 そうならないように俺達がコントロールしてるわけなんだが。 今回の事案も文明レベルの上昇を示す危険シグナルという形で上に報告することになるだろう。 この群れを含むエリアの警戒レベルが一段上がるのは恐らく間違いないだろうな。 ゆっくりどもにはもうしばらく、お馬鹿のままでいてもらおうか。 了) 【これまでに書いたもの】 anko4404 タマ子の部屋 anko4395 DQ小ネタを詰め合わせ(べほまらー・他4編) anko4392 アメリカの友人 anko4391 ゆらぎそよ風 anko4388 生きがいをあげる anko4387 わたしの終わりは世界の終わり anko4384 ゆんゆんころり
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ゆっくりと雀蜂 「ゆゆっ! むしさん!ゆっくりたべられてね!」 「むーしゃ♪むーしゃ♪ しあわせー♪」 「おかーしゃんみてみてー! まりさいもむしさんつかまえたよー!」 「みんなとってもゆっくりしてるね! さすがれいむのこどもたちだよ」 ここは人里から離れた森の中。 そこには多くのゆっくりが外敵にも襲われず、平和にゆっくりと暮らしていた。 なぜならこの森にはゆっくりより大きな生物はいない。 強いて外敵を挙げるとすればカマキリや鳥などだが、 たとえ襲われようとも、ゆっくり達が力を合わせれば追い払える程であり、 多くのゆっくりはこの森で、外敵に怯える事無くゆっくりと生活している。 野生のゆっくりは食料として主に虫や花を食す。 特に、栄養溢れる虫はゆっくり達の好物であり、ゆっくり達は狩りと称し虫を捕っては食べている。 この家族も今まさに狩りの真っ最中である。 バスケットボール大の親れいむと親まりさが見守る中、子ゆっくり達が虫を捕っている。 子ゆっくり達はこの後家族でゆっくりと虫を食べるためにも真剣に狩りに勤しみ、 その様子をとても幸せそうに両親が見守っている。 「ゆっくりーのひー♪まったりーのひー♪すっきりーのひー♪」 子ゆっくり中には、狩りよりもお歌のがすきなゆっくりもいる。 みんな、親れいむと親まりさの大切な子供だ。 「ゆー♪ ゆっくりいっぱいむしさんつかまえたよ! きょうはごちそうだね!!」 「そうだね! これだけあればこんやはゆっくりできるね!!」 一匹の子まりさがたっぷりと虫を詰めた帽子を見上げながら幸せそうに親に擦り寄る。 そして親れいむがソフトボール大の子まりさをいとおしく擦り寄り返す。 「ゆ! きょうはこれぐらいにしてみんなゆっくりとおうちにかえるよ!!」 「「「ゆっくりおうちにかえるよ!!!」」」 親まりさが子ゆっくり達に大声で帰宅することを告げ、 子ゆっくりが揃って親まりさに負けないぐらいの大声で返事をする。 この家族はゆっくりの群れで暮らしている。 村長のぱちゅりーはとても賢く、群れのために尽くしている。 ゆっくり達はそんなぱちゅりーの下、みんなでゆっくりとした暮らしを満喫している。 いまこの家族が狩りをしていた狩場から村まではゆっくりの足で10分ほどの所にあり、 そこには50匹ほどのゆっくりが住んでいる。 「わ… わから…」 「ゆゆっ!! ゆっくりだいじょうぶ!?」 ――おうちに帰る道の途中、突然家族の先頭を進んでいた親まりさが驚きの声を上げた。 「ゆ!? このちぇんけがをしてるよ!!」 「ゆっくりどうしたの!?」 親まりさが見つけたのはゆっくりちぇんだった。 そしてまだある程度の距離はあるが、ここからでもわかる程にちぇんは傷つき弱っていた。 見覚えはない、おそらく他の群れのちぇんなのだろう、 いまも傷口から餡子を流しながら、ずりずりと這う様に森を進んでいる。 「ゆ…ゆっー!?」 怪我をしたちぇんが心配になり近づいた途端、家族は凍りついた。 「わ… わがらないよぉ゛…」 もう助からないかも知れない。 片目は潰れ、耳も尻尾も千切れて無くなってしまったちぇんを見て、まりさは悟ってしまった。 「こわいよぉ!! このちぇんゆっくりかわいそうだよぉ!!」 「ゆえーん! ゆえーん!」 「ゆゆっ! みんなだいじょうぶだよ! おかあさんたちがついてるからゆっくりあんしんしてね!!」 子ゆっくり達は今まで見たこともないような大怪我を負ったちぇんを見て怯え、 それを親れいむが必死になだめようとする。 「ゆ?」 その時親まりさは、ちぇんの体中に無数の小さな穴が開いており、その周辺は異常に赤くなっていた事に気が付いた。 しかし、今はそれよりも早くちぇんを助けることが優先だ。 「ちぇん! しゃべっちゃだめだよ! ゆっくりうごかないでまっててね! すぐにそんちょうのぱちゅりーをよんでくるよ!!」 親まりさがちぇんに動かずに安静にするようにちぇんに言い残し、 一人で急いで群れに向かった。 「ゆっくりげんきになってね!! ぺーろぺーろ」 まりさの去った後、れいむと子供達は虫の息のちぇんを懸命に舐めた、 応急処置にでもなれば。 そう思い懸命にちぇんを舐めるれいむ達。 しかし 「わ゛… わ゛がらな゛…」 「ぺーろぺーろ!」 「おかーさん! だめだよちぇんがぜんぜんゆっくりできてないよ!!」 「ゆぅ…」 舐めて治るような傷ではない。 れいむ達はぱちゅりーを呼びに行ったまりさに全てを託し、 自分達には見守るしか術が無いことを悟った。 「ゆっくりだいじょうぶ!?」 「ゆゆっ!こっちだよ! ゆっくりしないではやくきてね! そうしないとちぇんがゆっくりできなくなるよ!!」 涙目になっていたれいむの顔が一瞬で明るくなった。 れいむの視線のその先には、最愛のつれあいと村長のぱちゅりーがいた。 「はあはあ… むきゅ…」 まりさが急かしたのだろう。 体力の少ないぱちゅりーは顔を青ざめぜえぜえと必死で呼吸している。 「ぱちゅりー! ゆっくりしないではやくたすけてあげてね!!」 「むきゅ… わかってるわ!」 ふらふらとしながらもぱちゅりーがちぇんに近づく。 しかし、ぱちゅりーは傷を眺める以外に特に手を打たない。 いや。打てないと言った方が正しいだろう。 「むきゅ…」 「どうしたのぱちゅりー! なんなにもしてくれないの!?」 痺れを切らしたれいむが声を張り上げる。 なぜたすけてくれないのか? れいむは唯一期待していたぱちゅりーがなにも手を打たないことに怒りをあらわにする。 「は…が… にげ…」 「むきゅっ!?」 ――突然。消えてしまいそうなほど弱弱しい声で ちぇんが近くにいるぱちゅりーに何かを伝える。 「むきゅ! なんていったの!? もういっかいいってね!」 聞き取れなかった。 れいむの怒鳴り声に紛れて、ちぇんがなんと言ったのかぱちゅりーには聞き取れなかった。 そして… (らん…しゃま… さむいよ… くるしいよ… たすけて…よ………) 「ちぇん! しっかりしてよ!!」 思わずまりさが声を出す。 今まさに、ちぇんの大切なもの――命が抜け出してしまう。 まりさはそんな気がしたのだ。 そしてそれは正しかった。 「ちぇん…」 ぱちゅりーは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 なぜ、自分はちぇんを助けることはおろか、 ちぇんが最期、自分になんと言ったのか、それすら聞き取れなかったからだ。 そしてぱちゅりーは思案する。 ちぇんはなぜ、他所の群れのちぇんが自分達の群れの近くに来て なぜ、この平和な森の中であのような惨たらしい傷を負い、 そして、最期になんと言ったのか。 しかし、一言だけぱちゅりーには聞き取れた。 それは… 『はち』 ――翌朝 「ゆっくりしていってね!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」 いつもと変わらない朝。 親まりさは目覚めると同時に声を張り上げる。 その声は洞窟の中で反響し、家族の目を覚ます。 そしてまりさに「ゆっくりしていってね!!」と声を返す親れいむと子供達 いつもと変わらないはずの朝。 しかし、家族はみなどこか暗く元気が無いように見える。 特に一番下の子まりさは明らかに元気が無い。 しかしそれは仕方の無いことだと親まりさは思った。 突然目の前で起きた出来事。 子供達が初めて目にするリアルな死。 例えそれが初対面のゆっくりとは言え、子供達の心に深い衝撃を与えたことには変わりは無い。 昨日、ちぇんが死んだ後、親まりさは涙を潤ませながらちぇんの亡骸を土に埋めた。 そのそばでゆんゆん泣く子供達を親れいむが必死になだている。 ぱちゅりーは涙を浮かばせながら、一匹で先に群れへと向かった。 「…みんな!!」 突然、親まりさが家族に向かって声を張り上げる。 「みんな! …きのうはかなしいことがあったよ」 「ゆう…」 「けど、ずっとかなしんでちゃだめなんだよ!!」 まりさが続ける、その声はかすかに震え、目には涙が浮いている。 そして、家族みなが目に涙を浮かべている。 「どんなにゆっくりできないことがあっても、ずっとかなしんでたままじゃ、なにもいいことはおきないんだよ!! かなしいことはわすれちゃいけないよ、けど、それをずっとひきずってたままじゃだめなんだよ! このさきもつらくてかなしいことがいっぱいあるんだよ! だけど… みんなでちからをあわせて、ゆっくりあかるくげんきにいきていこうよ!!」 「ゆ…」 「そうだよ!」 一番上のれいむが親まりさに同調する。 「ちぇんはかわいそうだけど、いつまでもかなしんでちゃだめなんだよ! そんなこと、きっとちぇんものぞんでいないんだよ!!」 「れいむ…」 親まりさがわが子の言葉に思わず感動した。 いつの間に、れいむの子供はこんなに強くなったのだろう、 親として、あまりのうれしさに涙を流す。 「そうだよ! みんなでゆっくりしようよ!!」 「ゆ! おねーちゃんのいったとおりだよ! かなしいことをずっとひきずってたままじゃだめなんだよ!!」 「ゆ! そうだよ!」 「みんな…」 親まりさは幸せいっぱいの顔で子供達を見つめる。 この子達なら、この先もみんなでゆっくり暮らしていける。 まりさはそう思った。 その時。 ブブブブブ 「ゆ?」 おうちの出入り口の一番近くにいた子まりさが、外からなにか音がしていることに気が付いた。 子まりさ今まで何度も聞いたことのある音だ。 そして、子まりさが大好きな音だ。 「ゆゆ! むしさんがおそとにいるよ!!」 元気を取り戻した子まりさは大好物の虫を食べたい一心で おうちの出入り口にカモフラージュとして敷いている落ち葉を取り払い、ぴょーんと外に飛び出す。 しかし、その時になって子まりさは外の異変に気が付いた。 そして、気づくのがあまりにも遅すぎた。 「ゆ… ゆぎゃあぁあああぁあああああぁあああ!?」 「ゆゆぅ!?」 「ど、どうしたの!?」 外に飛び出した子まりさは突然襲い掛かったあまりの激痛に悶える。 始めは電撃が走ったような衝撃、そしてそれから一拍置き、 右のほっぺたに今まで感じたことのない痛みが走った。 「ゆ゛… ゆ゛…」 呼吸すらままならない。 それはまるで炎の針が直接当てられたような、死んでしまいそうなほどの激痛だ。 「ばりざぁ゛ぁ゛ぁ!! どうじたのぉおお!?」 気が動転した親れいむが、おうちを出た途端凄まじい悲鳴を上げて倒れたわが子を助けようとおうちを飛び出す。 そして子まりさに近づいた時、 れいむは子まりさの右ほっぺたに、見たことのない昆虫が止まっているのに気づいた。 「ひぎぃ! いだいよぉぉおおおおお!!」 子まりさがあまりの激痛に身を悶える、しかしその昆虫は決して子まりさから離れない。 親れいむは気づいた。 このむしさんがまりさを苦しめている。このむしさんはゆっくりできないむしさんだと。 そして 「まりさからはなれろおおお!! ゆっくりできないむしさんはゆっくりしないでしんでね!!」 親れいむの渾身の体当たり。 愛するわが子に当たらないよう、虫のみを正確に狙った一撃だ。 だが 「ゆびぃ!?」 体当たりは空を斬った。 親れいむが当たる直前、ゆっくりには反応できないような速度でその昆虫は子まりさから離れたのだ。 そして親れいむは勢いそのままに、森の中に突っ込み地面に激突してしまった。 「ゆ!」 その時、頭の後ろから聞きなれた高周波の音が親れいむの耳に届いた。 そして親れいむが振り向いたその瞬間… 「ゆぴいぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃぃ゙ぃ゙ぃ!?」 何かが後頭部に止まり、その一瞬後、親れいむのいままでの生涯で感じたことのない、精神を飲み込む激痛が親れいむを襲い掛かった。 「いだいいいいいいいい!! もうやべでえええええええええ!!」 親れいむは後頭部にいる何かに向かって必死に懇願する。しかし、痛みは一切の慈悲も無く親れいむの精神を削る。 「ゆ゙っ…ゆ゙っ…」 後頭部の何かが去った後も痛みは全く引かない、それどころか痛みはさらに全身を駆け巡り、親れいむの意識を刈り取った。 「まりさ! だいじょうぶ!?」 「ゆえーん! おねーちゃんがくるしんでるよぉー!!」 「ゆっくりげんきになってね! ぺーろぺーろ!」 異変に気づいておうちから親まりさと子供達が出てきて苦しんでいる子まりさに声をかける。 しかし子まりさは「ゆ゛っ ゆ゛っ」と呻き苦しむだけで事態は変わらない。 「ゆ!」 親まりさは子まりさの右ほっぺたがおかしい事に気が付いた。 子まりさの右ほっぺたには小さな穴が開いており、その周辺は異常に赤くなっていた。 それはまるで、昨日死んだちぇんと同じ症状だと親まりさは直感した。 「ゆゆ! だれかくるよ!」 「ゆ!?」 突然、親まりさのそばにいた子れいむが遠くを見て叫んだ。 「ゆ… ゆぅ!?」 子れいむの指し示す方向を振り向いた途端親まりさは青くなった。 親まりさの視線の先、 そこには体中の皮膚が破れ、そこから生クリームを流しながらみお必死にこちらに向かって這いずる村長ぱちゅりーがいた。 「ゆっくりだいじょうぶ!? むれのみんなはどうしたの!?」 「む゛… ぎゅう…」 親まりさは傷ついた村長ぱちゅりーを見た瞬間、またしても昨日のデジャブが蘇った。 まるで昨日のちぇんではないか。親まりさは急いでぱちゅりーの元に駆け出した。 「む… ぎゅうぅぅ…」 「…っ!?」 親まりさの目にいやおうなしに飛び込んで来た惨状。 ぱちゅりーは体中に裂かれたような傷と、無残にも突き刺された無数の穴が残されていた。 「どぼぢで… どぼぢでごんなごとに…」 もう嫌だ。今まで起きたことの無い惨劇の連続に思わず逃げ出したくなる。 しかしそれはできない。愛する伴侶と子供達を守ること、それこそが親まりさの使命だと思っているからだ。 「ゆ! そういえば…」 もはや動くことすら出来なくなったぱちゅりーを安全なおうちに匿うために押している時、 親まりさは最愛の伴侶が見当たらないことに気がついた。 「もうやべてええええぇぇぇぇぇえ!!? ゆっぐりできないぃぃぃぃ!!!」 「ゆ!?」 聞き逃すはずもない。今の悲鳴は間違いなく最愛の伴侶のものだ。 親まりさは焦りながらも冷静な対応を取った。 まずぱちゅりーをおうちの中に入れ、次いで子供達を全員おうちの中に入れた。 最初に悲鳴を上げた子まりさは動くことはおろか、いまだに意識すら戻らないため、 親まりさが口を使っておうちまで運んだ。子供達は皆気が動転してるのか、一切声も出さずにおうちの奥で震えている。 そして、子供達に決して外に出ないように忠告し、親まりさは先ほどの悲鳴の聞こえた森の中に駆け出した。 「れいむ! どこにいるの!? ゆっくりへんじしてね!!」 親まりさが必死に親れいむを探しまわる。しかしいくら探しても親れいむは見つからない。 「どぼじでえぇぇ!!? おねがいだがらへんじしてよぉぉおお!!」 どうしても見つからない。おうちに残した子供達が心配になってきた親まりさは、一旦帰ろうと思い始めた。 だが、次の瞬間。ブーンという嫌な羽音が奥の方から聞こえてきた。 「ゆぅ! なんのおと!?」 あまりにも連続して身に降りかかってきた悲劇の連続に、まりさの神経はゆっくりとしては異常なまでに過敏になっていた。 そのため、普段なら聞き逃すような小さな音にまで気が付いたのだ。 「むしさん…? ゆっくりしずかにしてね!! うるさくてれいむがみつからないよ!!」 その羽音は、いまだかつてないほどにまりさの神経を逆撫でた。 そしてまりさは怒りに身を任せ、その音のする方へ怒鳴った。しかし、それでも羽音は収まらない、 それどころか、まるで自分の方へと向かって来ているようである。 「ゆ… やめてね!! こっちにこないでね!! ゆっくりできないむしさんはむこうにいってね!!」 まりさは羽音だけで思わずたじろいてしまった。 まだ姿も見てもいないのに、まりさはまるでれみりゃに襲われているような錯覚すら覚えた。 なんで? いままで食べるために捕っていたむしさんに怖気ているの? 自分よりもはるかに小さくて、自分よりもはるかに弱いはずのむしさんに怯えている。 ――なんで? 自問自答を繰り返す。しかし、結論は出ない。 「ゆっ!!??」 まりさが混乱している間に、『彼ら』はまりさのすぐそばに来ていた。 そして、そのことにまりさが気づくよりも早く、『彼ら』はまりさの体中を食いちぎった。 「ゆぎいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!??」 全身を走る激痛により、まりさの思考は一瞬で止まってしまった。 まりさが理解できるのは一つだけ。それは、彼らは自分に群がり、自分を食べている事だけだ。 まりさの目を、足を、帽子も、髪の毛も、全てを。そして破けた皮膚から流れ出す餡子さえも。 「やめっ! やめでぇ! いだいぃいい!! やべでぇぇぇえええええ!!!」 ――まりさは目を食いちぎられる瞬間。一瞬だけ、『彼ら』の姿を見た。 それは黄色と黒をした、とてつもなくゆっくりできないむしさんだった。 そしてそのむしさんが何十匹もまりさの体に群がり、まりさを食べ始めてのだ。 『彼ら』が去った後。そこにはかすかに餡子が散らばっていた。 あとがきという名の言い訳 わかっているでしょうが『彼ら』の正体はスズメバチです。 もともとは山にいなかったのですが、ゆっくりを餌として生息範囲を拡大しているという設定です。 ちぇんの群れはぱちゅりーの群れよりも先にスズメバチに襲撃されました。 あのちぇんは傷つきながらもぱちゅりーの群れに危険を知らようとしましたが、群れの一歩手前で力尽きてしまいました。 群れの他のゆっくりは全滅しました。群れから少し離れた所をおうちにしていたあの家族は被害に遭うのが遅かったのです ぱちゅりーと子供達がこの後どうなったか、それはご想像にお任せします Q、スズメバチが餡子を食うの? A,その質問は勘弁して下さい。
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「ふたば系ゆっくりいじめ 265 飾りの価値は 承/コメントログ」 やだ・・このドスカッコいい・・ -- 2010-06-04 03 17 23 被害者面する屑共ほど腹が立つものもなかなかないな 飾りの件も虐めの件もテメエらが加害者側の癖に -- 2010-08-26 20 26 00 どうしようもない無能ドスだな 飾りの無いゆっくりはゆっくり出来ないという当たり前の事を 考慮しないから群れに歪みが生じているのに -- 2010-09-07 03 02 39 ドスはこの群れ滅ぼしてパチュリー・飾りの無かったれいむと新しい群れを作りに行くべき むしろこの群れ全員惨殺希望 -- 2010-09-27 16 00 10 ↓↓飾りのないゆっくり=障害を背負った方々(←ごめんなさい) ドラマやらなんやらで何かと障害者って周りから冷たい目で見られてるよな? 飾りのないれいむも似たようなもの。 飾りが1匹1匹を判別する手段にあるなら、ゆっくりに扮した不特定生物によって絶滅を回避するための防衛手段じゃないかな?顔で識別するなら、飾りの有無関係なく識別するからさっきもいったように不特定生物に絶滅しかねないからね。 じゃあ、飾りまで似せてあったら? ゆっくり特有の材質で作られるだろうな、タンパク質でもなく、本物の布でも作られてない、なんかだと思う。 -- 2011-12-30 02 57 39 このあとこの群れはれいぱーちゃんや糞豚饅頭やらキチガイの人たちがランチキ騒いで ぜんっめつ!したとさ!お~しまいっ! -- 2012-05-19 01 45 57 ↓何その大怪獣決戦wwwもちろんドスとパチュリーは新たな群れを作りいなくなる、いなくなる直前きっと糞饅頭どもはドス何ていなくても平気だよだからお飾りがないゆっくりをゆっくり出来るゆっくりといってるバカなドスはさっさとでていってのたれしぬんだじぇとか言ってるに違いない -- 2012-07-06 17 49 57 ↓↓↓毎日のように、「不特定生物」によって自滅に近い惨死を遂げてる、 ひ弱で無力で、自分をむしろ害するような中途半端な知能しかない饅頭に、そんな高等な機能がついている訳がないと思うんだが……。 存在自体が道化にすぎないゆっくりが、その生態からしていかに愚かで性悪かが具現しただけの特徴だと思う。 -- 2012-09-02 00 03 12 障害者には2通りあるんだ、まずは障害を持っているが自分に出来る事を頑張ろうとする純真な奴 もう一つは障害者であることを盾にするドス黒い社会の障害者の二通りだ -- 2012-12-17 19 39 11 ドスとパチュリーとお飾りのないゆっくりで 群れを作るべきだ -- 2014-12-16 16 10 15 ↓ゲスの群れとか攻めて来そうだな -- 2016-02-16 22 30 50 お飾りのないれいむ美人じゃん!!れいむをいじめなければこうならなかったのに・・・ 群れのみんなも、いじめのしかたを、教えなければこうならなかったのに・・・・ 死んで苦しんで地獄にいってれいむに、見捨てられればいいのに・・・ -- 2016-04-05 21 52 50
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遺棄地に稀有なる屍肉あらば、砂漠に群れ成すハイエナあり。 With carrion a rarity in the Broken Lands, the hyenas that stalk the deserts hunt in packs. アモンケット 【M TG Wiki】 名前